古くなった電気温水器を処分する最も一般的で安全な方法は、「新しい給湯器への交換業者に引き取りを依頼する」ことです。この場合の処分費用は、工事費込みで1万円〜3万円程度が相場です。費用を抑えたいからといって、数百kgにもなる本体を自分で処分しようとするのは、専門知識がないと非常に危険です。

電気温水器は、タンク内の水抜き、電源や配管の切断といった専門工事が必要な上、産業廃棄物として適切に処理されなければなりません。自力での解体や運搬は労力がかかり、事故や不法投棄のリスクがあるため、プロに任せるのが確実かつ安全です。

例えば、新しいエコキュートへの交換時に古い温水器の処分を依頼すれば、撤去・運搬・処分を一括で任せられ、処分費用は実質無料になるケースも多くあります。処分のみを依頼する場合でも、自治体に依頼するより早く、安心して作業を完了できます。

この記事では、電気温水器の最も安く、かつ安全な処分方法を、費用相場と合わせて詳しく解説します。これから交換を検討している方も、処分のみを考えている方も、この記事を参考に最適な方法を選びましょう。

電気温水器は粗大ごみではない！処分方法の基本

電気温水器は、エアコンやテレビのような「家電リサイクル法」の対象品目ではありませんが、一般の家庭ごみや粗大ごみとして処分することはできません。これは、主にその巨大なサイズと、専門的な解体が必要な構造のためです。

家電リサイクル法や自治体ルールとの関係

電気温水器の多くは、産業廃棄物に分類されます。そのため、自治体の粗大ごみ回収に出すことは基本的にできません。

• 家電リサイクル法との違い: エアコン、テレビ、冷蔵庫などとは異なり、電気温水器は家電リサイクル法の対象外です。
• 自治体の対応: 一部の地域では、一定サイズ以下の給湯器を粗大ごみとして受け入れることがありますが、一般的に家庭用の大型電気温水器（タンク容量200L以上）は対象外となります。

そのため、必ず専門の廃棄物処理ルートに乗せて処分する必要があります。

処分方法の3つの選択肢（交換業者、専門業者、自治体）

電気温水器を処分する主な方法は、以下の3つに絞られます。

1. 新しい機器の交換業者に依頼: エコキュートやガス給湯器へ交換する際に、古い温水器の撤去と処分を一括で依頼する方法。最も一般的で費用が安く済む方法です。
2. 処分のみを行う専門業者に依頼: 交換の予定はないが、古い温水器を撤去してほしい場合に依頼する方法。
3. 自治体の指定業者に依頼: 自治体によっては、産業廃棄物処理を専門とする提携業者を紹介してくれる場合がありますが、手続きが煩雑になることが多いです。

交換・買い替え工事時の処分と費用相場

電気温水器が古くなり、エコキュートや別の給湯器に交換するタイミングであれば、古い温水器の処分は非常に簡単かつ経済的に行えます。

新しいエコキュートへの交換時は実質無料になることも

給湯器の販売・施工業者は、通常、工事のオプションとして古い機器の撤去・運搬・処分をセットで請け負います。

• 無料になるケース: 顧客獲得のため、業者側が撤去・処分費用を工事費全体に含めたり、「無料引き取り」を謳ったりすることがあります。相見積もりを取る際は、「古い温水器の処分費用は含まれているか」を必ず確認しましょう。
• メリット: 取り外し工事の資格を持ったプロが作業を行うため、安全かつ確実です。

費用相場：工事費込みで0円〜3万円

交換工事時の古い電気温水器の処分費用の相場は以下の通りです。

交換を前提とする場合、この費用が最も安く、手間がかからない方法です。

処分のみを依頼する場合の費用と業者の選び方

「温水器はまだ使えるが、使わなくなったので撤去したい」「エコキュートに交換してからしばらく経っている」など、処分のみを依頼したい場合の費用と注意点です。

処分のみの依頼費用相場：3万円〜5万円

交換を伴わない処分のみの依頼は、以下の費用がかかることが一般的です。

この費用には、配管の処理や、必要に応じて壁の補修などが含まれる場合があります。

撤去作業に必要な電気工事士と給水装置工事主任技術者

電気温水器の撤去は、単なる「取り外し」ではなく、資格が必須な専門工事です。

1. 電気の遮断・配線撤去: 第二種電気工事士などの資格が必要な作業です。無資格で行うと、感電や火災のリスクがあります。
2. 給水・給湯配管の切断: 給水装置工事主任技術者などの資格が必要な作業です。不適切な処理は水漏れの原因になります。

処分のみを依頼する場合でも、必ずこれらの資格を持つスタッフが在籍している給湯器専門業者や住宅設備業者を選びましょう。

自分で処分するときの「水抜き」と「取り外し」のリスク

費用を節約したいからと、自分で電気温水器の処分を試みるのは、安全面・法律面から強く推奨できません。

必須作業！タンク内の「水抜き」手順と注意点

電気温水器のタンクには、機種にもよりますが200L〜550Lもの水が入っています。この水を抜かなければ、本体の重量と相まって、運搬や解体がほぼ不可能です。

• 水抜きの方法: 給水止水栓を閉め、逃し弁を開けた状態で、排水栓から水を抜く必要があります。
• 注意点: タンク内の水は高温（80℃以上）である可能性があり、火傷の危険性があります。また、水を抜く場所によっては、排水が詰まるなどのトラブルにつながります。

本体重量300kg超！無資格での取り外しは危険

水抜き後の電気温水器（特に大型の貯湯タンク）は、本体だけで100kg〜150kg程度の重量があります。水が完全に抜けていなければ、総重量は300kgを超えることも珍しくありません。
● 人身事故のリスク: 持ち上げたり倒したりする際に、本体の下敷きになるなどの重大な事故につながる可能性があります。
● 家屋の損傷: 重大な配管の切断ミスは水漏れを引き起こし、家屋の損傷や近隣トラブルの原因になります。

時間と労力を費やしても、専門業者に依頼する費用以上の損害を被る可能性が高いため、自力での取り外しは絶対に避けましょう。

処分費用を左右する「温水器のタイプ」と「設置場所」

処分費用は、温水器のタイプや設置状況によって変動します。見積もりを依頼する前に、自宅の温水器の状況を確認しておきましょう。

費用が高いケース：風呂場設置タイプや特殊な搬出経路

撤去作業の難易度が高まると、人件費が増えるため、処分費用が高くなります。

• 風呂場設置（ユニットバス内）: 浴槽を跨いで搬出する必要があるため、手間と時間がかかり、費用が高くなります。
• 搬出経路が狭い: 階段や通路が狭く、温水器を壁や手すりにぶつけないよう慎重な作業が必要な場合。
• クレーンが必要: 2階以上に設置されていたり、敷地内が狭く、クレーンによる吊り上げ・吊り下げが必要な場合。

費用が安いケース：屋外設置でクレーン不要な場合

最も費用が安く済むのは、作業が容易なケースです。

• 屋外設置（開放的な場所）: 駐車場や庭など、作業スペースが十分に確保されており、撤去後の運搬が容易な場合。
• 搬出経路がスムーズ: 障害物がなく、台車などでそのまま運び出せる場合。

業者に見積もりを依頼する際は、必ず温水器の設置場所と、そこから道路までの搬出経路の写真を提示しましょう。

違法な処分を避ける！専門業者に任せるべき理由

電気温水器の処分を専門業者に依頼することは、費用や安全面だけでなく、法律や環境保護の観点からも重要です。

産業廃棄物としての適切な処理とマニフェスト

電気温水器のタンクや部品は、鉄、銅、プラスチックなどが複合的に使用されており、これらは法律に基づき産業廃棄物として適切に処理されなければなりません。

• マニフェスト（産業廃棄物管理票）: 専門業者は、温水器を回収した後、正規の処理ルートで処分したことを証明する「マニフェスト」を発行する義務があります。
• 確認: 安心して処分を任せるためにも、業者に「産業廃棄物処理業の許可証」を持っているか、「マニフェストの発行が可能か」を確認しましょう。

悪徳業者が行う不法投棄のリスク

「無料回収」「格安処分」などを謳う無許可の業者に依頼した場合、その業者が正規の処理を行わず、山林や海岸などに不法投棄をするリスクがあります。

• 依頼主の責任: 不法投棄が行われた場合、依頼主であるお客様にも責任が及ぶ可能性があります。
• 確認: 費用が極端に安い業者は避け、所在地や事業内容が明確な、信頼できる給湯器専門業者を選びましょう。

まとめ

電気温水器の処分は、粗大ごみとして扱えないため、専門業者による「水抜き」「取り外し」「運搬」「産業廃棄物処理」が必要です。

• 最も簡単な方法: 新しいエコキュートなどへの交換工事時に、業者に処分も一括で依頼するのが最も簡単かつ経済的です。費用は0円〜3万円で済むことが多いです。
• 処分のみの費用: 処分のみを依頼する場合、撤去工事費用が含まれるため、相場は3万円〜5万円となります。
• 安全と法律: タンク内の水抜きや電気配線の処理には専門資格が必要です。安全と法律遵守のためにも、必ず産業廃棄物処理の許可を持つ専門業者に依頼しましょう。

これから交換を予定している方は、まずは複数の給湯器業者に見積もりを依頼し、処分費用を含めて最も条件の良い業者を選びましょう。