2023年4月13日
電気温水器からエコキュートに交換できる?交換した場合のランニングコストや工事費用などを解説
電気温水器とエコキュートはどちらも電気を利用する給湯器です。そのため、電気温水器からエコキュートへ交換したいと考える方はいるかもしれません。
しかし、2つの給湯器はお湯の沸かし方や特徴が異なるため、交換する際に知っておきたいポイントが幾つかあります。
そこで今回は、電気温水器からエコキュートに交換できるのか分かりやすく解説します。交換した場合のランニングコストや工事費用なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
電気温水器からエコキュートに交換できる?
結論から申し上げますと、電気温水器からエコキュートに交換は可能です。
電気温水器は電気の力だけでお湯を沸かす給湯器となります。内部に取り付けられた電熱ヒーターが熱を発してお湯を沸かしますが、商品によって瞬間式と貯湯式に分かれています。
- 瞬間式…水が電気温水器を通過する際に瞬間的にお湯を沸かす
- 貯湯式…貯湯タンクが付いており、必要に応じて貯めたお湯を給湯する
一方、エコキュートは電気と空気の熱を活用してお湯を沸かす給湯器です。エアコンにも使用されているヒートポンプ技術により、空気を圧縮して熱を生み出してお湯を沸かします。
大半の商品が貯湯式となっているため、設置する際にはヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットを置くスペースが必要です。
どちらも電気を利用するという共通点があり、電気温水器が貯湯式だった場合はエコキュートの貯湯タンクユニットを置くスペースが確保されているので、スムーズに交換できます。
ただし、電気温水器からエコキュートに交換するには、幾つか工事を行う必要があり、場合によっては注意すべきポイントがあります。
電気温水器からエコキュートへ交換するための工事費用
電気温水器からエコキュートへ交換するためには、次の工事が必要です。
- 電気温水器の撤去
- エコキュート本体の搬入や設置など
- 給水・給湯配管接続
- 電気配線接続
- 排水管接続
- リモコンユニットの取り付け
- 試運転
- 操作方法の説明と引き渡し
エコキュートは給湯方法によって、フルオートタイプ、オートタイプ、給湯専用の3種類がありますが、搬入から引き渡しまでの工事はどのタイプでも行われる基本工事(標準工事)となります。
基本工事の費用は販売業者によって異なりますが、10万円~15万円程度が相場です。また、業者によっては古い電気温水器を撤去する費用として、1万円~2万円程度を別途請求されることがあります。
なお、交換する場合、配管や配線は電気温水器の時に利用していたものを再利用します。しかし、次のようなケースでは新たに設置する可能性があるので追加工事費用が発生する可能性があります。
- フルオートタイプのエコキュートを設置する
- 電気温水器とは別の場所にエコキュートを設置する
フルオートタイプとは、お湯はりからたし湯、追い焚きなどを自動で行うタイプのことです。エコキュートの追い焚きは浴槽内部のお湯を戻して温めなおすので、風呂配管とは別に循環配管を追加する場合があります。
また、電気温水器を設置した場所とは別の場所にエコキュートを設置する場合、状況によっては給水・給湯配管や電気配線を延長します。
ほかにも、地震対策の転倒防止用工事や、積雪対策工事などの追加工事を行うケースもあります。そのため、上記のような追加工事を加味すると、電気温水器からエコキュートに交換するのに10万円~20万円程度はかかると見込んでおきましょう。
なお、業者によっては工事を始めてから追加工事を勝手に行い、料金を請求するトラブルがあるので、事前に工事内容や金額をまとめた見積もりを出してもらうと良いです。
電気温水器からエコキュートに交換する時に知っておくべきポイント
どちらも電気を利用する給湯器ですが、お湯の沸かし方や設置する機器など違う点もあるので交換する時は次のポイントを知っておきましょう。
- 瞬間式から貯湯式に変わる可能性がある
- 初期費用が高額になりやすい
- ランニングコストは大幅に抑えられる
- 外気温や周りの環境によって性能が変化する
- ヒートポンプユニットのスペースが必要
上記のポイントを順番に解説します。
瞬間式から貯湯式に変わる可能性がある
電気温水器は商品によって瞬間式と給湯式がありますが、エコキュートはすべての商品が給湯式となっています。そのため、家庭によっては瞬間式給湯器から貯湯式給湯器に変わる可能性があります。
貯湯式の電気温水器を使用していた場合は、貯湯式のエコキュートに交換しても、同じように利用できるので注意すべきポイントはありません。しかし、瞬間式の電気温水器を利用していた方は、エコキュートに交換したら次のポイントに注意しましょう。
- 貯湯式は湯切れのリスクがある
- 貯湯式は水圧が弱い
貯湯式給湯器はお湯を沸かすと、貯湯タンクにて貯めておき、必要に応じて各所に給湯します。そのため、瞬間式と違ってお湯が切れてしまう「湯切れ」のリスクが常にあります。
また、貯湯タンクにお湯を貯めておく時に水圧で内部が破損しないように減圧するため、瞬間式に比べて水圧が弱いというデメリットもあります。
湯切れのリスクは家族の人数に合った貯湯容量の商品を購入し、リモコンユニットでお湯の量を確認しながら利用していけば回避できます。水圧を強くしたい方は、商品によっては水道直圧式があるので、商品を選ぶ時に機能や性能を比較してみましょう。
初期費用が高額になりやすい
電気温水器はメーカーやタイプによって異なりますが、一般的な相場は15万円~30万円程度です。一方、エコキュートもメーカーやタイプによって異なりますが、一般的な相場は30万円~70万円程度となります。
- 電気温水器…15万円~30万円程度
- エコキュート…30万円~70万円程度
初期費用だけを比較すると、エコキュートは高額な傾向があるので、購入する時は注意しましょう。
ランニングコストは大幅に抑えられる
電気温水器からエコキュートへ交換することの最大のメリットは、お湯を沸かすためのランニングコストが大幅に抑えられることです。
電気温水器は電気の力のみでお湯を沸かしますが、エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かします。そのため、エコキュートは同じ湯量を沸かすのに必要なエネルギーを電気温水器の約4分の1まで削減することが可能です。
次の表は、同じ湯量を沸かすための年間ランニングコストを比較したものとなります。
エコキュート | 電気温水器 | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 |
実際のランニングコストは機器の性能や家族の人数などによって異なりますが、電気温水器からエコキュートに交換すれば数万円の節約ができます。
例えば、東北電力エリアでエコキュートに交換すれば、年間約58,800円の節約が可能です。エコキュートの初期費用は高額ですが、ランニングコストを大幅に節約できるので、初期費用の差額を回収できる可能性は十分あります。
外気温や周りの環境によって性能が変化する
エコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かすため、外気温や周りの環境によって性能が変化することがあります。
例えば、夏に比べて冬は外気温が低いので使用するエネルギー量が増える、ヒートポンプユニットに雪や霜、ゴミなどが付着していると効率が下がるなどのケースがあります。そのため、気温が下がったらモードを切り替える、定期的に清掃を行うなどをしましょう。
ヒートポンプユニットのスペースが必要
エコキュートにはヒートポンプユニットが不可欠です。ヒートポンプユニットは空気の熱を取り込んで圧縮し、お湯を沸かすための装置となります。エコキュートの心臓部分ともいえる機器で、電気温水器にはありません。
貯湯式電気温水器とエコキュートの貯湯タンクは貯湯容量にもよりますが、ほとんどサイズが変わりません。そのため、貯湯式電気温水器を設置していた場所に、エコキュートの貯湯タンクユニットを置くことができます。
しかし、ヒートポンプユニットは貯湯タンクユニットとは別の機器となるので、ヒートポンプユニットを置くスペースが必要です。
ヒートポンプユニットはエアコンの室外機並みのサイズなので、貯湯タンクユニットを置くスペースがあれば、近くに置ける可能性はあります。
しかし、住環境によってはメンテナンスのスペースが取れないといった理由から、置けない場合もあるので、施工業者に現地調査を依頼しましょう。
電気温水器からエコキュートへ買い替える際は補助金制度を利用する
電気温水器からエコキュートへ買い替える際の大きなデメリットは、初期費用が高額なことです。
エコキュートは電気温水器に比べて初期費用が高額になりやすいので、買い替える際は補助金制度を利用してみましょう。
政府は省エネ性能の高い住宅機器の導入に対して補助金制度を出す傾向があります。エコキュートは電気温水器を含めたほかの給湯器に比べて省エネ性能が高いです。次の表は、他の給湯器との年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
そのため、エコキュートに対して補助金を出す団体や自治体が多いです。
例えば、経済産業省資源エネルギー庁では、省エネ性能の高いエコキュート1台につき、5万円の補助金を支給する「給湯省エネ事業」を行っています。
補助金は「給湯省エネ事業」のように国庫を財源とする制度とは別に、地方自治体が住んでいる方を対象に支給する場合もあります。
国庫を財源とする補助金制度と地方自治体が行っている補助金制度は併用可能な場合が多いので、両方の補助金を使うことが可能です。
電気温水器からエコキュートへ買い替えようとしている方は、住んでいる地方自治体の窓口で補助金性の有無を確認しましょう。
エコキュートは電気料金の値上げ対策になる
東北電力や東京電力など、大手電力会社7社は燃料価格の高騰や電力市場価格の上昇などを理由に家庭向け電気料金の大幅な見直しを予定しております。
例えば、東北電力の場合は、「従量電灯B・契約電流30A・1カ月の使用電力量が260kWh」の家庭の電気料金が月額11,282円(値上げ率31.27%・値上げ額2,717円)になる見込みです。
1カ月あたり約2,700円の値上げは、1年間に換算すると約32,400円の値上げとなります。
約30%の値上げとなると、節電だけでは対応するのは難しいですが、東北電力エリアで電気温水器からエコキュートに交換すれば、年間約58,800円の節約が期待できます。
つまり、電気温水器からエコキュートに交換すれば、電気料金の値上げ対策が可能です。
まとめ
以上が、電気温水器からエコキュートへの交換に関する解説です。電気温水器からエコキュートへ交換することは可能で、幾つか注意すべきポイントはありますが、交換できるならエコキュートに交換したほうが良いでしょう。
2023年4月初旬時点で、大手電力会社7社は電気料金の大幅な値上げを予定しています。電気料金の値上げは家計に深刻な影響を与えるので、エコキュートに交換することで値下げの対策が可能です。
「エコざんまい」は中間業者を減らした独自の仕入れルートを持っており、住宅設備機器を低価格で販売しています。商品知識が豊富なスタッフが対応しますので、電気温水器からエコキュートへの交換入を考えている方は、ぜひご相談ください。