2025年5月23日
給湯器にはどんなタイプがある? 熱源や仕組みごとの種類を徹底比較!

入浴やシャワー、洗顔や洗いもの等々、快適な日々の生活に欠かすことのできないお湯。
かつて熱源が薪や炭しかなかった時代にはお湯を沸かすことは重要な作業であり、多大なエネルギーを必要とする一大事でした。
現代社会では天然の炎だけではなくガス・灯油・電気等々さまざまな熱源があり、給湯器の発達と相まって一般家庭はおろかワンルームでも自由にお湯を使えることが当たり前となっています。
しかしそれでも依然として家庭生活においてもっとも多くのエネルギーを消費するのは給湯関連の営みであり、そのため実に多くの給湯器が開発されてきた歴史があります。
そんな中、環境保全への配慮を主眼とした省エネルギーを実現する高効率給湯器の機種も登場し、いかに少なくクリーンなエネルギーで無駄なくお湯を作り出すかというテーマへの挑戦が続いています。
本記事ではそんな給湯器のタイプについて、熱源や仕組みごとにどのような種類のものがあるのかを比較しつつ解説します。
給湯器の代表的な種類8選
それでは、一般に「給湯器」と呼ばれている設備にはどのようなものが挙げられるのかを見ていきましょう。
ここでは水を加熱してお湯を得る仕組みを持つ装置を総称して給湯器と呼び、その熱源は機械力と自然エネルギーの両方を含むものとします。
以下、代表的な8種類をピックアップしました。
エコキュート
「エコキュート」とは電気のみをエネルギー源として稼働する給湯器であり、熱交換装置であるヒートポンプの作用を用いてお湯を得ることが最大の特徴です。
電気をエネルギー源とするとは言え、電熱によって直接水を加熱してお湯を沸かしているわけではない点が構造的なポイントといえるでしょう。
ヒートポンプの内部には「冷媒」と呼ばれる気体(二酸化炭素)が循環しており、まずはこれに空気中の熱を吸収させます。
気体は圧縮すると高熱になる性質を持っていることから、温められた冷媒を加圧して約90℃にまで高めた熱を次々に水に伝えていくことによってお湯をつくるのが基本的な仕組みです。
なお、気体は逆に開放すると温度を下げるため、冷媒は加圧による温度上昇と減圧による温度低下のサイクルを繰り返します。この熱交換の原理はエアコンや冷蔵庫にも用いられています。
また、ヒートポンプで作ったお湯は貯湯タンクにためておき、それを設定温度になるよう適宜、水で割りながら給湯するという運用も特徴的なシステムといえるでしょう。
ヒートポンプは基本的に電気料金が安い夜間に稼働し、タンクにためておいたお湯を日中に使用することから高い省エネ効果とすぐれたランニングコスト性能が給湯器としての大きなメリットです。
エコジョーズ
「エコジョーズ」とはガスを燃焼させた際に発生する熱をエネルギー源としてお湯を沸かすタイプの給湯器のことで、大手熱エネルギー機器メーカーであるリンナイがリリースしている製品です。
ガス給湯器の基本的な仕組みとしては先述したとおりシンプルなもので、炎の熱を水に伝えるという点では伝統的かつある意味ではプリミティブな技法といえるでしょう。一方で火の熱でお湯を沸かす場合にそのエネルギーは100%利用されることが難しく、水がお湯になる過程で熱エネルギーの多くが空気中等に放散してしまうことは避けられません。
ガス給湯器においてこのように無駄となってしまう熱源は200℃にもおよぶとされ、エコジョーズはこれを回収して加熱のためのエネルギーとして再利用する機能を実装した給湯器です。
このことによってエコジョーズは従来型給湯機と比較した場合、ガス使用量を10~15%削減することに成功しました。
エコジョーズはこれまで無駄になっていた熱エネルギーを回収して再利用し、ガス使用量を抑えて効率よくお湯を沸かす給湯器であると定義づけられます。
エコワン
「エコワン」とは電気とガスの両方をエネルギー源としてお湯を得るハイブリッド給湯器のことです。
いわば先に紹介したエコキュートとエコジョーズの機能を併せ持つ給湯器であり、通常時はヒートポンプを稼働させて低ランニングコストでお湯をつくり、瞬間的に多量のお湯が必要な場合はガスの燃焼熱でお湯を沸かすことが可能です。
このように状況によって適した加熱方法を選択できることが「ハイブリッド」と呼ばれる由来であり、ヒートポンプ式とガス燃焼式の長所を備え、なおかつ暖房としても使える機種も存在します。
エコワンでは浴室や床の暖房機能も含まれており、発生した熱エネルギーを無駄なく利用する工夫が施された給湯器であるといえるでしょう。
エネファーム
「エネファーム」とはガスを主なエネルギー源として発電する家庭用の燃料電池で、「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」と呼ばれるものです。
設備のコントロールには電源を必要としますが、ガスの化学反応を利用して発電しつつ、その際に発生する熱でお湯を沸かすことも可能としています。
したがって正確には給湯器そのものではなく「給湯機能を備えた燃料電池」であり、家庭内で用いる一定の電力をまかないつつ災害時などによる停電時に予備電源としても使える設備です。
ガスの化学反応は水の電気分解を逆ルートで行なうものと例えられるように、電気と水と熱を発生させることからそれらを無駄なく利用する技術を織り込んだ複雑な装置であるといえるでしょう。
家庭用の電力を自ら発電しつつ、非常における蓄電池としても機能するエネファームはいざというときのライフラインの一つとしても効果を発揮します。
電気温水器
「電気温水器」とはその名のとおり、電気の力で水を温めてお湯を沸かす給湯器を指しています。
電気が発する熱をヒーターから水に伝えることでお湯を沸かしており、家庭用の電気ポットと原理的には同様のものです。
また、先述したエコキュート同様に貯湯タンクユニットを備えていることが多く、溜めておいたお湯を水で割りながら消費することでエネルギーロスを抑える工夫が施されています。
ただし当然ながら停電時には稼働できず、なおかつ電気料金が高くなる傾向にあることは設備の特性における不可抗力といえるでしょう。
ガス給湯器
「ガス給湯器」はガスを燃焼させた際に発生する熱でお湯を沸かす設備のことで、給湯器としてはもっとも伝統的な熱源の用い方の一つとおえるでしょう。
使用するガスは大きく分けて都市ガスとLP(プロパン)ガスとがあり、都市ガスの方がランニングコストにすぐれているのが一般的である一方、タンクを外付けするLPガスは災害時に強いというメリットが知られています。
単にガス給湯器といった場合には「従来型」と呼ばれることもありますが、ガス由来の強い火力で瞬間的にお湯を沸かすことが可能で、比較的コンパクトなため狭小地あるいはキッチンなど限定的な場所への設置も可能です。
ただし同じガス給湯器でも先述のエコジョーズと比較した場合には、燃焼エネルギーの利用効率の違いによりガス消費量が多めになる点がポイントです。
灯油ボイラー
「灯油ボイラー」は文字どおり灯油を燃焼させて得た熱エネルギーによってお湯を沸かす装置のことです。
設備としては「燃焼器」と「灯油タンク」の2つのユニットで構成されており、特に北国などの寒冷地ではセントラルヒーティングの熱源としても長らく利用されています。
灯油を燃焼させての強力な熱源に加え、タンクユニットの大きさによっては一度の給油で長期間にわたって使用できるなど多くのメリットが存在します。
エネルギー源の違いだけで原理的にはガス給湯器など他の機器との大差はありませんが、特に灯油が比較的安価だった時代には冬場の心強い設備であったといえるでしょう。
太陽熱温水器
「太陽熱温水器」とは、太陽光の熱で温めたお湯を用いる住宅設備のことです。
お湯を沸かすという機能とは異なるため正確には給湯器ではありませんが、本記事では比較のために加えました。
集熱版というパネルで太陽光の熱を集め、それをタンク内の水に伝えて加熱するのが基本的な構造です。
太陽光という自然エネルギーを用いる性質上、その加温能力は天候によって大きく左右されてしまいますが、一例では夏場で60℃程度、冬場で30℃ほどの温度にまで高めることが可能です。
したがって冬場でも洗いものをするには十分な温水を得ることができ、入浴に利用する場合でも追い焚きとあわせることによって熱エネルギーの消費削減に貢献します。
給湯器の種類別基本データ比較表
これまで見てきた8種類の給湯器について、以下に基本的なデータの比較表を見てみましょう。
年間ランニングコストはあくまでも一例であり、個別の使用条件によって大きく変動することには注意が必要です。
なお、太陽光温水器に関しては必要な時に望む温度のお湯を必ずしも得られるものではない点を改めて確認しておきましょう。
熱源 | 初期費用 | 年間ランニングコストの例 | |
---|---|---|---|
エコキュート | 電気 | 約45~85万円 | 約2.5万円 |
エコジョーズ | ガス | 約25~40万円 | 都市ガス:約4万円
LPガス:約7万円 |
エコワン | 電気・ガス | 約40~80万円 | 都市ガス:約4.4万円
LPガス:約5.6万円 |
エネファーム | ガス | 約100~200万円 | 約6~10万円 |
電気温水器 | 電気 | 約60~70万円 | 約5~7万円 |
ガス給湯器 | ガス | 約15~20万円 | 都市ガス:約5万円
LPガス:約10万円 |
灯油ボイラー | 灯油 | 約13~55万円 | 約6~8万円 |
太陽熱温水器 | 太陽光 | 約15~30万円 | 0円(加熱のみについて) |
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事では給湯器の種類を8つ挙げ、比較表を示してそれぞれの概要を述べました。
どのタイプが適切かはユーザー個別の需要によって変動するため答えはありませんが、中でもエコキュートは性能・価格・ランニングコストといった総合面から高く評価され、国の補助制度も設けられていることから普及が進んでいます。
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