2023年2月23日
東北電力の電気料金はいつから値上げ?東北電力のオール電化向け料金プランや電気料金の値上げの対策を解説
社会情勢の変化や燃料価格の大幅な上昇を受けて、旧一般電気事業者の多くが値上げの申請を行いました。東北電力も値上げの申請を行った事業者の1つで、2023年4月1日より電気料金が値上がりします。
そこで今回は、東北電力の値上げについて解説します。値上げによる影響や、オール電化住宅向け料金プラン、値上げの対策なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
東北電力の値上げは2023年4月1日
東北電力の発表によると、東北電力は2022年11月24日時点で、経済産業大臣に退位して小売規制料金の値上げに係わる「特定小売供給約款」の変更を申請しました。
そのため、2023年4月1日から東北電力の電気料金が平均32.94%の値上げをする予定です。
東北電力が値上げを申請した理由
東北電力が値上げを申請した理由は以下の通りです。
- 地震の影響
- 社会情勢の変化により燃料価格の大幅な上昇
- 経営状況の急速な悪化
上記を順番に解説します。
地震の影響
2021年2月と2022年3月に発生した福島県沖を震源とする地震によって、複数の火力発電所が被災しました。
地震により東北電力が保有している発電所のうち、仙台火力発電所・新仙台火力発電所・原町火力発電所、相馬共同火力が保有している新地発電所が自動停止しています。
新仙台火力発電所は地震が発生した翌日、あるいは1週間以内に再稼働できましたが、ほかの発電所は再開までに半年、あるいは1年近くかかっています。
2度の地震による停止の影響は深刻で、設備の復旧費用のほかに、供給力を確保するためのコストが必要です。
社会情勢の変化により燃料価格の大幅な上昇
2022年2月以降、社会情勢の変化により燃料価格が大幅に上昇しています。
例えば、石炭およびLNG(液化天然ガス)は2022年10月時点の価格が、2021年4月時点の価格より約4.1倍~約5.6倍まで値上げしています。
卸電力市場の価格は、1kWhあたり13円前後だったのが、一時は1kWhあたり80円まで上昇しています。現在も価格の高騰は止まらず、電力調達コストが料金収入を上回る「逆ザヤ」の状態です。
経営状況の急速な悪化
東北電力は上記の問題の解決に努めようと様々な対策を講じています。
例えば、被災した火力発電所を早期に復旧したり、石炭やLNGの調達方法を工夫することでコストを抑えようとしたりしています。
しかし、電力供給コストの負担は重く、2020年度は黒字だった経営が、2021年度の当期純利益は-1,083億円、2022年度は-1,800億円にと到達する見通しです。
経営状況の休息の悪化により、東北電力の自己資本比率は東日本大震災時以上に悪くなる恐れがあります。
自己資本比率が悪化すると、会社の信用力が低下され、資金調達に支障が出て、燃料調達や設備の修繕などができなくなり、電力の安定供給に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
以上の理由により、東北電力は低圧の規制部門の小売料金を値上げする申請を行いました。
東北電力の値上げで電気料金はどうなる?
東北電力の値上げによる電気料金への影響は契約しているプランによって異なります。規制料金プランと自由料金プランでの値上げの影響について順番に解説します。
規制料金プラン
規制料金プランとは、電力の小売り自由化以前から提供されている電気料金プランのことを指します。例えば、東北電力の場合は「従量電灯B」や「従量電灯C」、「低圧電力」などが該当します。
規制料金プランでは契約電流(契約容量・電力)に応じて支払う基本料金と、使用電力量に応じて支払う電力量料金の両方が値上げします。「従量電灯B」の場合は、次のような値上げが予定されています。
値上げ前の価格 | 値上げ後の価格 | |
---|---|---|
基本料金 |
10A:330.00円 15A:495.00円 20A:660.00円 30A:990.00円 40A:1,320.00円 50A:1,650.00円 60A:1,980.00円 |
10A:385.00円 15A:577.50円 20A:770.00円 30A:1,155.00円 40A:1,540.00円 50A:1,925.00円 60A:2,310.00円 |
電力量料金 |
120kWhまで:22.05円/kWh 300kWhまで:28.80円/kWh 300kWh以上:32.75円/kWh |
120kWhまで:31.79円/kWh 300kWhまで:38.68円/kWh 300kWh以上:42.89円/kWh |
東北電力のシミュレーションによれば、従量電灯B・30A・月間使用電力量260kWhの場合、値上げ前の支払い額は8,565円に対して、値上げ後は11,282円に上昇します。値上げ影響額は2,717円で、値上げ率は31.72%です。
規制料金プランは使用電力が多いほど1kWhあたりの電力量料金が高額になる傾向があります。そのため、毎月の使用電力量が多い家庭の場合、値上げ率が平均32.94%を上回る可能性は十分考えられます。
自由料金プラン
自由料金プランとは、電力の小売り自由化以降に提供されるようになった、ライフスタイルや価値観に合わせて選べる電気料金プランのことを指します。
東北電力の場合、「よりそう+eねっとバリュー」や「よりそう+ファミリーバリュー」などが該当します。
東北電力の発表によると、規制料金プランだけでなく、自由料金プランも値上げを予定しています。現時点での値上げは、2022年12月分に適用する燃料調整単価と1kWhあたりの平均値上げ単価の差額分を上乗せするだけで、1kWhあたり1.64円の値上げです。
東北電力のシミュレーションによれば、よりそう+eねっとバリュー・30A・月間使用電力量260kWhの場合、値上げ前の支払い額10,876円に対して、値上げ後の支払い額は11,227円に上昇します。
値上げ影響額は351円で、値上げ率は3.23%となっており、規制料金に比べると大幅な値上げではありません。
ただし、東北電力の自由料金プランは2023年4月より、新たな託送料⾦制度「レベニューキャップ制度」を導入する予定で、1kWhあたり1.21円の上乗せが決まっていますが、上記のシミュレーンには反映されていません。
また、自由料金プランは燃料費調整額によって大きく変動する可能性があるので、タイミングと状況によっては規制料金よりも支払い額が高くなる可能性はあります。
夜間単価を設定している自由料金プラン
自由料金プランのなかには、昼間と夜間で料金単価が異なる料金プランがあります。東北電力の場合は、「時間帯別電灯A」や「よりそう+シーズン&タイム」などが該当します。
一日の使用電力量は昼間にピークを迎え、深夜から朝にかけては減少する傾向があります。
夜間単価を設定している自由料金は、夜間の電力料金が低く、昼間の電力料金が高いという内容で、夜間にお湯を沸かすエコキュートや電力料金が安い時間帯に電力を蓄えておく蓄電池と相性が良いです。
しかし、深夜機器の普及により夜間電力の需要が拡大し、省エネ性能の高い住宅機器や太陽光発電システムの設置が増えたことで昼間電力の需要は減少しています。
そのため、東北電力は夜間単価を1kWhあたり4.95円引き上げ、昼間単価を1.98円引き下げる変動を検討しています。
変動が実行された場合、契約している自由料金プランの内容や使用している深夜機器の種類にもよりますが、シミュレーション上での値上げ影響額は3,000円~10,000円、値上げ率は10%~21%になります。
使用している深夜機器の種類や使用電力量によっては、規制料金プラン並みの値上げになる可能性があるので、別の電気料金プランへの乗り換えも検討してみましょう。
東北電力のオール電化向け料金プラン
東北電力では2023年4月1日より、新しいオール電化向け料金プラン「よりそう+スマートタイム」の提供を開始する予定です。
東北電力で提供中のオール電化住宅向け料金プランよりも昼間・夜間時間の電力量料金の価格差は小さく設定されていますが、太陽光発電の自家消費を上手に活用すれば、電気料金を抑えられる可能性があります。
「よりそう+スマートタイム」の内容は以下の通りです。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
基本料金 | 主開閉器契約
実量契約 |
10kVA以下 | 1契約 | 3960.00円 |
上記を超える | 1kVA | 396.00円 | ||
電力量料金 | 平日昼間(8時~22時) | 1kWh | 26.09円 | |
休日昼間(8時~22時)
夜間(22時~翌8時) |
1kWh | 18.47円 |
東北電力の夜間単価を設定している自由料金プランは夜間料金が1kWhあたり約11円になっているのと比べると、夜間料金は割高な印象があります。
しかし、「よりそう+スマートタイム」の平日昼間の料金単価は他のプランに比べて抑えられており、休日昼間の料金単価が夜間単価と同じことは魅力的です。
「よりそう+スマートタイム」はエコキュートやIHクッキングヒーター、太陽光発電システム、蓄電池などのオール電化住宅を設置している方におすすめの料金プランになります。
東北電力の一部プランは新規契約を終了する
東北電力では、2023年3月31日をもって、夜間単価を設定している次の自由料金プランの新規加入を終了します。
- よりそう+ナイト8・10・S
- よりそう+ナイト12
- よりそう+シーズン&タイム
- よりそう+サマーセーブ
新規加入の終了なので、現時点で契約している方や、2023年3月31日までに加入している方は、終了後も契約を継続できます。
しかし、2023年4月1日以降は、上記のプランの料金単価が変動します。夜間単価を1kWhあたり4.95円引き上げ、昼間単価を1.98円引き下げる変動なので、電気の使い方によっては電気料金が高くなることありえます。
そのため、東北電力の夜間単価を設定している自由料金プランを契約している方は、電気使用量の見直しや、シミュレーションを行い、継続するかどうかを考えてみましょう。
電気料金の値上げの対策
電気料金の値上げの対策は幾つかあり、代表的なのは節電です。使用していない家電製品をコンセントから抜いたり、電気を無駄使いしないように気を付けたりすると、ある程度の使用電力量を減らせます。
しかし、東北電力の値上げ率は平均32.94%と高く、使用電力量を1ヶ月あたり約3割減らす節電を実行することは難しいです。また、値上げをした理由が解消されない限りは、今後さらに値上げが起きる可能性は否定できません。
そのため、電気料金の値上げの対策として注目されているのが、太陽光発電システムや蓄電池などの住宅機器です。
太陽光発電システムは自分で発電した電力を電力会社に売電したり、自家消費したりできます。使用電力量を減らすことができるので、電気料金の節約に繋がります。
また、蓄電池をセットして、料金プランを「よりそう+スマートタイム」のような夜間単価を設定している自由料金プランに切り替えれば、夜間に購入した電力を昼間使用して、昼間の電気代を節約することが可能です。
太陽光発電システムや蓄電池の導入には初期費用がかかりますが、料金プランや発電容量によってはある程度回収できる可能性はあります。
電気料金の値上げを本格的に対策したいなら、太陽光発電システムや蓄電池の導入を検討してみましょう。
まとめ
以上が、東北電力の値上げに関する解説です。東北電力の規制料金プランと夜間単価を設定している自由料金プランは、使用電力量にもよりますが電気料金が30%前後アップする可能性があります。
自由料金プランの値上げ幅は少ないですが、燃料費調整額の大幅な上昇による影響を受けやすいので、契約している方は注意しましょう。また、電気料金の値上げ対策として、太陽光発電システムや蓄電池の導入の検討をおすすめします。
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