2024年6月28日
東京都が行うクール・ネット東京「令和6年度 熱と電気の有効利用促進事業」とは
東京都が実施している「熱と電気の有効利用促進事業」をご存じですか?この事業は、太陽光発電システムや地中熱利用システム、エコキュートなどの設置にかかる費用を支援する補助金の制度です。
助成金額の1戸あたりの上限は、太陽光発電システムで55万円、地中熱利用システムで180万円、エコキュートで22万円となっています。この補助金を活用して機器を導入することで、二酸化炭素の排出削減や光熱費の削減などのメリットが得られます。
今回は熱と電気の有効利用促進事業の内容や補助金利用のメリット・注意点などについて紹介します。ぜひ、参考にしてください。
熱と電気の有効利用促進事業とは
同事業はクール・ネット東京(東京都環境公社が運営)が実施している補助金です。交付申請の事前申し込みは2024年(令和6年)5月31日からスタートしました。ここでは、事業の背景や対象となる機器、補助金額、申請の手順について解説します。
事業の背景
事業の背景には、東京都が掲げる「東京ゼロエミッション」があります。東京ゼロエミッションとは、東京都が掲げた2050年までにCO2の排出を実質ゼロにするという目標のことです。それにともない、2030年までにCO2排出量を2000年比の50%まで削減するカーボンハーフを表明しています。
温暖化を食い止めるため、東京都は太陽光発電システムの導入やCO2の排出削減を推進するための補助金を拠出しています。熱と電気の有効利用促進事業もそうした動きの一環と考えるとよいでしょう。
対象となる機器と助成金額
対象となる機器と助成金額は以下のとおりです。
対象設備 | 助成率 | 1戸あたりの上限額 |
---|---|---|
太陽光発電システム | 機器費・工事費の1/2 | 55万円 |
地中熱利用システム | 機器費・工事費の3/5 | 180万円 |
エコキュート | 機器費・工事費の1/3 | 22万円 |
地中熱利用システムの場合、戸建ての設置は1台を上限としています。エコキュートについては、太陽光発電の電力を利用して日中に沸き上げる機能を有するものに限られています。全てのエコキュートが対象となるわけではないため注意しましょう。
申請の手順
申請の手順は以下のとおりです。
- 1. 事前申請
- 2. 施行後の交付申請
- 3. 審査・決定
- 4. 補助金の交付
ここでは、エコキュートを例にとり補助金申請の手順を解説します。最初にすることは、エコキュートを購入・設置する業者を選ぶことです。購入・設置を依頼する業者を決めたら、見積書、事前申込書、誓約書などをクール・ネット東京に提出します。
事前申請が受理されると、クール・ネット東京から事前申込受付通知が交付されます。その後、工事の契約や施工が行われます。
工事の終了後、「交付申請兼実績報告」をクール・ネット東京に提出すると補助金の審査が始まります。「交付申請兼実績報告」は、事前申込が受理されてから1年以内に提出しなければ無効となるため注意しましょう。
審査の結果、問題がないと判断されれば交付決定通知書が送付され、送付から1〜2か月以内に助成金が振り込まれます。支払日の事前連絡などはありません。
補助金利用のメリット
補助金を利用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、環境面・経済面・災害対策面の3つのメリットについて解説します。
環境面でのメリット
1つ目は環境面でのメリットです。補助金の対象となる太陽光発電システムやエコキュートは、CO2の排出量を大幅に削減できることが期待されている機器です。太陽光発電システムを導入することで、化石燃料由来の電力の使用量が減るため、CO2の排出削減に貢献できるからです。
同様に、エコキュートもCO2の排出削減に貢献できる機器です。ヒートポンプの働きにより、少ないエネルギーで稼働させられるため、ガス給湯器などとくらべて大幅にCO2排出量を削減できます。
加えて、この補助金の対象となっているのは太陽光発電で生み出した電力でお湯を沸かすタイプです。そうなれば、火力発電由来の電力をほぼ使用せずに給湯できるため、CO2排出量はほぼゼロに近づきます。
経済面でのメリット
2つ目は経済面でのメリットです。太陽光発電を利用すると電力会社から電気を購入する量を大幅に削減できるため、光熱費を節約できます。電力会社からの電力には、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が含まれていますが、太陽光発電の電力を自家消費すると、再エネ賦課金を支払わずに済むため、経済的なメリットが大きいのです。
2012年度に1kWhあたり0.22円だった再エネ賦課金は、2024年度には3.49円にまで増加しています。クール・ネット東京では、4人世帯の平均的な電気の使用量を中間期(5月)で343kWh、夏場(8月)で479kWh、冬場で608kWhと試算しています。
そうなると、毎月1,190~2,121円の再エネ賦課金を支払っていることになります。しかし、太陽光発電やその電力を使って給湯するタイプのエコキュートであれば、その分を支払う必要がなくなるため大変お得になります。つまり、毎月の光熱費を大幅に削減することができるのです。
災害対策面のメリット
3つ目のメリットは、災害対策としても活用できる点です。大規模な災害が発生すると、直接の被害がない地域でも停電することがあります。過去の大地震を見ても、震災の中心地域の周辺も数日から1週間程度停電していました。
太陽光発電システムを取り入れていれば、停電時でも電気を使用することができます。同時にエコキュートも備え付けていれば、お湯を沸かすこともできます。災害に備えるという点でも、非常にメリットがある機器であり、補助金を利用して導入する価値が十分あるといえるでしょう。
補助金利用の注意点
熱と電気の有効利用促進事業は、太陽光発電システムやいわゆる「おひさまエコキュート」を導入する人にとって、大きなメリットがある補助金です。しかし、注意すべき点がいくつかあります。ここからは、補助金利用の注意点についてわかりやすく解説します。
初期費用がかさむ
1つ目の注意点は初期費用がかさむことです。太陽光発電システムの場合は、1kWhあたり平均28.8万円とされているため、3kWhなら86.4万円、5kWhなら144万円の初期費用がかかります。
おひさまエコキュートの価格平均は、100万円程度と見込まれます。太陽光発電システムを導入していない場合、上記の太陽光発電システム料金も含まれるため、合計で190〜250万円程度が見込まれます。
ただし、熱と電気の有効利用促進事業の補助金を活用することで、最大77万円の費用補助が受けられます。上手に補助金を活用できれば、初期費用の負担を大幅に抑えることができるでしょう。
メンテナンスコストがかかる
2つ目の注意点はメンテナンスコストがかかることです。太陽光発電の寿命は10年から20年です。心臓部ともいえるパワーコンディショナー(パワコン)は10〜15年程度が交換の目安となります。太陽光パネルの寿命は20年程度と見込まれています。
仮に、パワコンもパネルも問題なく稼働し続けたとしても、メンテナンスコストがかかります。最低でも、年1回、1〜2万円の点検費用がかかるため10年で10〜20万円のコストがかかります。
エコキュートも同様にメンテナンスコストがかかります。点検1回あたりのコスト相場は1〜3万円ほどです。万全の状態で稼働させるには、ランニングコストの安さだけではなくメンテナンスコストも計算に入れる必要があります。
まとめ
今回は、東京都が実施している「令和6年度 熱と電気の有効利用促進事業」の内容や助成金額、補助金を利用するときのメリットと注意点について解説してきました。東京都はCO2の排出削減のためにさまざまな施策を行っており、この補助金もそうした対策の一つです。
太陽光発電システムやおひさまエコキュートは、良いものであるという認識を持つ方が多い一方で、初期費用が高額になってしまうというデメリットもあります。補助金を活用することで、初期費用を抑えられることを知っておきましょう。
初期費用を抑える方法の一つが、専門店で格安の機器を購入することです。
エコざんまいは、独自のルートで仕入れを行っているため、低価格でご提供できます。
これから、補助金を利用してエコキュートを導入しようと考えているのであれば、ぜひ一度、エコざんまいに相談してみてはいかがでしょうか。