2024年12月23日
太陽熱温水器とはどんな仕組み? エコキュートとの違いも含めて徹底解説!
再生可能エネルギー利用の研究が進み、現在では個人の住宅にも太陽光発電パネルが設置されて自家消費用電力の一部をまかなえるなど、ゼロ・エネルギーへの取り組みも普及しています。
省エネは環境保全のためにも喫緊の課題であり、少しでも消費エネルギーを抑えつつ効率よく稼働する住宅設備にも工夫が凝らされています。
家庭生活では給湯に関連することにもっともエネルギーが必要であるといわれ、この点の省エネ化は家計にも環境にもやさしい取り組みとなるため個人レベルでも大きな関心事の一つといえるでしょう。
住宅設備としては「エコキュート」をはじめとする高効率給湯器の導入が有効な方策ですが、もう一つ伝統的な設備として「太陽熱温水器」の存在が挙げられます。
省エネ設備としてかつてはよく用いられた太陽熱温水器とはどのようなものなのか、エコキュートとの違いも含めて解説します。
太陽熱温水器とは?
太陽熱温水器とは、文字通りに太陽光の熱で水を温める住宅設備のことです。
屋根の上にソーラーパネルのような銀色の構造物が載せられているのを目にしたことがあるかもしれません。
それが太陽熱温水器で、基本的には集熱機能を持ったパネルと貯湯タンクで構成されており、水を太陽光の熱によって温めるようになっています。
まさしく太陽の熱のみで水の温度を上げるシステムであることから温室効果ガスを出さず、省エネルギーを体現したクリーンな給湯器といえるでしょう。
エコキュートとは?
対して、エコキュートとはどのような給湯器であるのかを次に見ていきましょう。
エコキュートは電気をエネルギー源として稼働することを先に述べましたが、これは電気の熱によって直接水を加熱してお湯を沸かしているのではありません。
エコキュートはエアコンの室外機や冷蔵庫などにも用いられている「ヒートポンプ」という装置を備えており、この機能によって大気中の熱を集めて水を温めるのが基本的な仕組みです。
もう少し詳しく説明すると、ヒートポンプの内部を循環している「冷媒」と呼ばれる気体(二酸化炭素)に空気中の熱を吸収させ、気体は圧縮すると高熱になる性質を利用して高めた熱を水に伝えて60℃前後の温度にまで上昇させています。
気体は逆に開放すると温度を下げるため、冷媒は圧縮と開放を繰り返しながら循環して空気中の熱を集め続けます。
さらにエコキュートは夜間の安い電力で稼働し、ヒートポンプでつくったお湯は貯湯タンクにためておいて随時水で割ることで必要な温度にして各所に給湯するようになっています。
このように、太陽熱温水器は純粋に太陽光を熱源として水を温めるのに対し、エコキュートはヒートポンプの作用でお湯を作り出す点に大きな違いがあります。
太陽熱温水器の仕組みとは?
太陽熱温水器の仕組みについて、さらに詳しく見ていきましょう。
先にも述べましたが集熱版というパネルで太陽光の熱を集め、それをタンク内の水に伝えて加熱するのが基本的な構造です。
天候にもよりますが夏場では60℃ほど、冬場でも30℃程度の温度にまで高めることが可能で、追い焚きと併用した場合でも大きく熱エネルギーの消費削減に貢献します。
お湯を取り出す配管方式には、大きく分けて以下の2種類が挙げられます。
ロット配管(下部採湯方式)
温められたお湯を、タンクの下部から必要量だけ取り出す方式です。
その際には給水バルブを閉める必要がありますが、落差によって給湯されるため水圧の低い場合や断水時でも使用できるメリットがあります。
最初の段階では温度が低めですが徐々に熱くなる特徴があり、短時間での給湯が可能なことからお風呂への使用に適しています。
・オーバーフロー配管(上部採湯方式)
温水器の下部から給水しつつ、温まった上層のお湯から順に必要量だけ押し出していく方式です。
熱いお湯から順次使えること、南側の屋根に設置して北側の場所へと棟を越えて給湯できる点などにメリットがあります。
追い焚きを併用したり、給湯器とともに使ったりすることで全体としてのエネルギー消費量削減に寄与するタイプです。
太陽熱温水器のメリットは?
クリーンな自然エネルギーの恩恵でお湯を得られる太陽熱温水器ですが、具体的なメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか。
以下に代表的な4つのポイントを挙げてみました。
太陽光のみで使用できること
太陽熱温水器はその名が示すとおり、純粋に太陽の熱のみで水を温める設備です。
そのため稼働のための動力をほぼ必要とせず、天然のエネルギーを有効活用することを可能としています。
また仕組みもシンプルであり、太陽光さえあれば一定の水温に到達することから安心して使用することができるのも大きな魅力です。
導入費用が安いこと
太陽熱温水器は導入費用が安いことも大きなメリットの一つです。
もっとも安価なタイプであれば20万円~30万円ほどのものもあり、その他の高効率給湯器と比較しても圧倒的な価格面での優位性があります。
またランニングコストがほぼかからないといえ、相殺分のコストを考慮すると2~3年も使えば黒字に転換するもいわれています。
もちろん使用状況にもよりますが、導入費用の安さとランニングコストのアドバンテージは魅力的いえるでしょう。
環境負荷を抑えられること
繰り返し述べてきたように純粋な太陽熱を用いて水を温めるシステムであることから、温室効果ガスを排出するなどの環境負荷をもたらしません。
省エネの目的や本義的な意味合いでも時代に即しているといえ、非常にクリーンなエネルギー利用の形であるともいえるでしょう。
また太陽光発電パネルと外観は似ていますが、発電部材とは異なるため廃棄の際の環境負荷もはるかに小さく済むと考えられます。
「日向水(ひなたみず)を使う」ともたとえることができそうで、仮に追い焚きなどで加熱するとしてもその分のエネルギー削減に寄与することがメリットです。
省スペースで設置できること
太陽熱温水器は太陽光発電パネルに比べると、省スペースで設置できることもメリットです。
太陽光パネルは屋根一面に敷設するパターンがよく見られますが、太陽熱温水器ではタンク容量に対して集熱版の大きさが設定されていることから屋根の一部分に設置すると使用が可能です。
住宅の造りによっては屋根の上に構造物を新設するのが難しいケースもあるため、省スペースの太陽熱温水器は汎用性の高い給湯器であるともいえるでしょう。
太陽熱温水器のデメリットは?
一方では太陽熱温水器にも当然デメリットが存在します。
設備の特性上、不可抗力ともいえる部分が多々ありますが、そうした面も的確に把握したうえで導入の検討を行うのがよいでしょう。
以下、代表的な4つのデメリットを挙げました。
効果は日射量に影響されること
太陽熱温水器の効果は、当然ながら日射量によって大きく影響されます。
たとえ夏場であっても雨が続くなど充分な日照時間がなければ、カタログスペックどおりの給湯効率を得ることはできません。
四季に応じて日照時間は異なり、冬場であればさらに熱効率が低下することも周知のとおりです。
自然のエネルギーを使うことから天候任せである面も大きく、タイミングによっては期待したような効率を実現できない可能性も否定できません。
気候の影響を受けやすいこと
日射量の問題同様に、気候の影響を受けやすいことも太陽熱温水器の特質に由来するデメリットの一つです。
太陽熱の利用は周辺環境や外気温にも効率が左右されるため、寒冷地ではより熱効率が下がります。
ごく大まかいうと北国に行くほど太陽熱利用の効率は低下し、年間を通じて使用に堪えない期間が長くなると優位性も薄れてしまいます。
設置を検討している地域の一年を通じた気候を把握しておくことも肝要です。
屋根の強度が必要なこと
太陽熱温水器は集熱板に加えて温水タンクを備えており、その中には水(お湯)が蓄積れています。
これらは太陽光発電パネルと比べると随分と重量がかさむことから、設置する屋根そのものに相応の耐久性が求められます。
荷重に耐えられないと判断された場合には別個にフレームや土台を組んで施工されるケースもありますが、追加料金によってはコストパフォーマンスの優位性に影響することも考えられます。
設置のための補助金がないこと
現在では太陽熱温水器を個人宅に設置するための補助金は支給されていません。
かつてはこうした制度がありましたが、現状は事業用の設備に対する補助のみのため、個人レベルでは全額自己負担が原則です。
総体として捉えた場合にはその他の高効率給湯器導入を補助金ですすめた方が安くなるケースも考えられるため、初期費用に関しては充分な比較検討が求められる問題となるでしょう。
太陽熱温水器とエコキュートはどちらがおすすめ?
太陽熱温水器のメリットとデメリットを見てきましたが、それでは高効率給湯器のエコキュートと比較するとどちらがおすすめなのでしょうか。
これまで見てきたように地域や気候、環境などによって太陽熱利用の効率は大きく変化することから一概に決めるのは難しいといえます。
しかし日照時間が短く年間を通して寒冷な北国では安定的な太陽熱利用を期待できないが現状で、確実な給湯を望む場合はエコキュートが適しているといえるでしょう。
反面、充分な太陽熱利用ができる地域であれば温水器ほうがコストパフォーマンスに優れるケースも考えられることから、使用する環境を鑑みて決定することが重要です。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではエコキュートと比較しつつ、太陽熱温水器とは何か、そのメリット・デメリットにはどのようなものが挙げられるか解説しました。
非常にクリーンな太陽熱のものを直接用いる方式の温水器ですが、使用効率には外部環境が大きく左右することが最大のネックです。
そうした諸条件を加味しつつ導入を検討するのがポイントといえるでしょう。
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