2024年11月16日
エコジョーズはやめとけと言われる理由は?エコキュートとの違いやおすすめの給湯器を紹介
エコジョーズは従来のガス給湯器に比べて省エネ性能は高いですが、やめとけと言われることが多いです。
給湯器は種類によって特徴が異なるので、エコジョーズに興味がある方は、やめとけと言われる理由を知っておくと良いでしょう。
そこで今回は、エコジョーズはやめとけと言われる理由や、おすすめの給湯器を紹介します。
エコジョーズとは?
エコジョーズとは、省エネ型のガス給湯器の一種で、正式には「潜熱回収型給湯器」と呼ばれます。
一般的なガス給湯器がガス燃焼による熱でお湯を温めるのに対し、エコジョーズは燃焼時に発生する「潜熱」と呼ばれる余分な熱も活用していることが特徴です。
従来ガスの給湯器では、この潜熱を排気として放出していましたが、エコジョーズではその熱を回収してお湯を効率よく温めるため、エネルギーの無駄が減少します。
そのため、従来のガス給湯器に比べて給湯熱効率が約15%アップし、ガスの使用量やCO₂排出量が約13%ダウンするなど、幾つものメリットを得られる可能性が高いです。
エコジョーズはやめとけと言われる理由
一見すると、従来のガス給湯器よりもメリットの多い給湯器のように思えますが、次のような理由からやめとけと言われる場合があります。
- 初期費用が高い
- 排水工事費と中和器の交換費用がかかる
- 悪臭が気になる
- ガス代の節約効果は大きくない
上記を順番に解説します。
初期費用が高い
一般的なガス給湯器の相場は6万円~20万円以上に対して、エコジョーズは25万円~40万円以上します。
実際の価格は販売業者によって異なりますが、ガス給湯器に比べればエコジョーズの初期費用は高額です。
高額な理由は使用する部品の数が多く、潜熱を回収する構造が複雑なことや、後述するドレン排水専用の配管が必要になるため、価格を抑えることは難しいと考えられています。
ただし、エコジョーズは省エネ性能の高い給湯器のため、補助金の対象になりやすいです。
例えば、経済産業省が開催している給湯省エネ2024事業では、追い焚き機能がついていない機種でも1台につき5万円、ついている機種なら1台につき7万円の補助金が貰えます。
補助金を貰える機種は限定されていますが、高額な補助金を貰えるので、初期費用はある程度抑えられると覚えておきましょう。
排水工事費と中和器の交換費用がかかる
エコジョーズは従来のガス給湯器と違い、排水のための追加工事が必要な給湯器です。
ガスを燃焼させて水を温めると、温度差によって多量の結露が発生し、水を適切に排出させる必要があります。
この排出水を「ドレン排水」と呼び、窒素酸化物が溶け込んでいる酸性の水なので、そのまま排水すると周りの環境や周辺の構造物に負荷を与える可能性を否定できません。
そのため、エコジョーズでは専用の配管を設置する工事と、ドレン排水を中性に変える中和器の工事が必要です。
工事費用は初期費用に含まれており、エコジョーズの初期費用が高額な理由の1つに挙げられます。
なお、中和器は消耗品のため、10年に1度のペースで交換する必要があります。メーカーや機種によって金額は異なりますが、1万円~4万円のコストが余分に発生するため、エコジョーズはやめとけと言われることがあります。
悪臭が気になる
エコジョーズを使用している方の口コミで、独特の悪臭や異臭を感じるという内容が投稿されています。
エコジョーズを使用していて悪臭が発生する原因の多くは、上述したドレン排水を中和器が中和しきれなくなり、酸性のまま排出しているケースです。
酸性のまま流れていると、土壌生物を死滅させたり、建物の金属部分を劣化させたりする恐れがあるので、早めに中和器を交換、あるいは修理しましょう。
上記以外にも、排水設備に汚れが溜まって悪臭を放っている可能性もあります。
定期的にメンテナンスや確認をしておけば防げる事態ですが、従来のガス給湯器に比べると、エコジョーズは注意すべきポイントが多いこともやめとけと言われる理由です。
ガス代の節約効果は大きくない
エコジョーズの最大のメリットは、従来のガス給湯器に比べてガス料金を節約できることです。
しかし、エコジョーズに変えたことでのガス料金の節約効果は、あまり大きいとは言えません。
次の表は、山形県山形市に住む4人家族の年間ランニングコストをシミュレーションしたものです。
ガス給湯器 | エコジョーズ | |
---|---|---|
1月 | 12,023円 | 10,000円 |
2月 | 10,969円 | 9,132円 |
3月 | 11,440円 | 9,519円 |
4月 | 10,402円 | 8,663円 |
5月 | 8,895円 | 7,417円 |
6月 | 7,533円 | 6,294円 |
7月 | 6,912円 | 5,777円 |
8月 | 5,980円 | 5,004円 |
9月 | 6,302円 | 5,274円 |
10月 | 8,352円 | 6,971円 |
11月 | 9,700円 | 8,085円 |
12月 | 10,951円 | 9,117円 |
年間 | 109,459円 | 91,253円 |
シミュレーション上では、従来のガス給湯器からエコジョーズに買い換えた場合、年間約2万円の節約効果を得られます。
実際のランニングコストは給湯器の性能や家族の人数によって異なりますが、ガス給湯器の相場が6万円~20万円に対して、エコジョーズは25万円~40万円です。
初期費用の差額を20万円とした場合、回収するのに10年以上、30万円とした場合では15年以上かかる計算になります。
補助金を貰えれば回収するまでの時間を短縮できますが、それでもエコジョーズに買い換えたことで得られる節約効果は大きくありません。
確かに、お湯を沸かすためのランニングコストは節約できますが、節約できる金額が少ないため、エコジョーズはやめとけと言われることがあります。
エコジョーズと名前が似ているエコキュートとは?
エコジョーズと名前が似ていますが、エコキュートは全く違った給湯器です。
エコキュートとは、エアコンで用いられるヒートポンプ技術を用いた給湯器で、空気の熱を利用してお湯を沸かします。
夜間の安い電力を活用してお湯を作るため、次の表のように年間ランニングコストがガス給湯器や石油給湯器に比べると大幅に抑えられていることが特徴です。
エコキュート | ガス給湯器 | 電気温水器 | 石油給湯機 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約104,400円 | 約184,800円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約98,400円 | 約189,600円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約112,800円 | 約166,800円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約73,200円 | 約158,400円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約81,600円 | 約100,800円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約75,600円 | 約87,600円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約108,000円 | 約176,400円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約93,600円 | 約193,200円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約102,000円 | 約84,000円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約62,400円 | 不明 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能やお湯の使用量などで異なりますが、エコキュートは節約効果が大きい給湯器です。
エコジョーズとエコキュートの違い
エコジョーズとエコキュートは似た名前ではありますが、次の点で違いがあります。
- エネルギー源
- お湯の供給方法
- 初期費用
上記を順番に解説します。
エネルギー源
エコジョーズはガスを燃焼させて温め、発生した潜熱を回収して効率良くお湯を沸かします。
一方、エコキュートは電気でヒートポンプユニットを動かすと、空気の熱を回収し、圧縮して高熱にするとお湯を沸かす仕組みです。
つまり、エコジョーズはガスを必要とする給湯器ですが、エコキュートはガスを必要とせず、電気だけで稼働する給湯器になります。
ガスが不要な給湯器なのでオール電化住宅を目指したい場合はエコジョーズではなく、エコキュートを購入しましょう。
お湯の供給方法
エコジョーズはシャワーや浴槽にお湯を張る際に、水道水をそのまま熱してお湯を沸かす供給方法です。利用するときにお湯を沸かすことから、瞬間式給湯器に分類されます。
一方、エコキュートはヒートポンプユニットで温めたお湯を、背丈よりも大きい貯湯タンクユニットに溜めておき、必要に応じて各所に給湯する仕組みです。利用する前にお湯を沸かして溜めておくことから、貯湯式給湯器に分類されます。
瞬間式給湯器と貯湯式給湯器では、次のようにメリットとデメリットが異なります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
瞬間式給湯器(エコジョーズ) | 必要なときに必要な量のお湯を無駄なく供給できる 湯切れの心配が無い 貯湯タンクユニットが要らないので省スペース |
多くの場所で同時使用すると水温が不安定 |
貯湯式給湯器(エコキュート) | 非常時にタンク内部のお湯が生活用水となる 断水が起きてもお湯が利用できる |
水圧が弱い 貯湯タンクユニットの設置スペースが必要 湯切れの心配がある |
瞬間式給湯器は必要な時に必要な量のお湯を無駄なく供給でき、断水が起きない限りは湯切れの心配がありません。また、貯湯タンクユニットが不要なので、狭小スペースでも設置可能です。
貯湯式給湯器は貯湯タンクユニットにお湯を溜めておけるので、非常時にはタンク内部のお湯を生活用水として利用できます。
しかし、事前にお湯を沸かしておく必要があるので、使いすぎてしまうと湯切れが起きてしまう心配があります。
また、タンクに溜めておくときに減圧するので水圧が弱く、貯湯タンクユニットを設置するためのスペースが必要なこともデメリットです。
使い勝手の面でいえば、瞬間式給湯器であるエコジョーズのほうが優れています。
初期費用
エコジョーズの初期費用が25万円~40万円に対して、エコキュートの初期費用は40万円~70万円です。
エコジョーズよりもエコキュートのほうが複雑な機構をしており、貯湯タンクユニットのような機器も必要なため、高額になる傾向があります。
ただし、どちらも省エネ性能の高い給湯器なので、補助金を貰える可能性は高いです。
例えば、経済産業省が開催している給湯省エネ2024事業では、エコジョーズに対して1台につき5万円、あるいは7万円の補助金が貰えますが、エコキュートに対しては1台につき8万円と金額が多くなっています。
さらに、条件を満たせば補助金額が増えていくのもポイントです。
エコキュートはエコジョーズに比べて初期費用は高額ですが、補助金も多く貰える可能性があると覚えておきましょう。
おすすめの給湯器は?
結論から申し上げますと、購入するならエコキュートがおすすめです。
エコキュートはエコジョーズに比べて初期費用が高額で、使い勝手も良いとは言えませんが、ランニングコストを大幅に抑えられる可能性が高い給湯器になります。
次の表は、山形県山形市に住む4人家族のお湯を沸かすための年間ランニングコストをシミュレーションしたものです。
エコジョーズ | エコキュート | |
---|---|---|
1月 | 10,000円 | 5,419円 |
2月 | 9,132円 | 4,658円 |
3月 | 9,519円 | 4,960円 |
4月 | 8,663円 | 3,451円 |
5月 | 7,417円 | 2,917円 |
6月 | 6,294円 | 2,495円 |
7月 | 5,777円 | 2,029円 |
8月 | 5,004円 | 1,616円 |
9月 | 5,274円 | 1,951円 |
10月 | 6,971円 | 2,823円 |
11月 | 8,085円 | 4,101円 |
12月 | 9,117円 | 4,670円 |
年間 | 91,253円 | 41,090円 |
あくまでもシミュレーション上の結果ではありますが、エコキュートのほうが年間ランニングコストを約5万円抑えられます。
仮にエコジョーズの初期費用を25万円、エコキュートを70万円とした場合、差額の45万円を9年目で回収できる計算です。
また、エコキュートは電気だけで動く給湯器なので、ご自宅に太陽光発電システムや蓄電池があれば、さらにランニングコストを抑えることができます。
つまり、ガス給湯器をエコジョーズに買い替えるよりも、エコキュートに買い替えて太陽光発電システムや蓄電池と併用すれば、大きな節約効果を得られる可能性が高いです。
そのため、給湯器を買い替えるならエコジョーズはやめて、エコキュートの購入を検討しましょう。
まとめ
以上が、エコジョーズはやめとけと言われる理由です。エコジョーズは従来のガス給湯器に比べて省エネ性能は高いですが、エコキュートに比べると年間ランニングコストは高くなります。
10年以上使用した場合のトータルコストを含めても、エコジョーズを購入するよりも、エコキュートに買い替えた方がメリットは大きいでしょう。
「エコざんまい」ではメーカー正規品を低価格で販売しております。専門知識や経験が豊富なスタッフが対応いたしますので、エコキュートに興味がある方は、ぜひご相談ください。