2025年10月27日
エコキュートの水圧は弱い?原因と高圧化でシャワー勢いを劇的に改善する策

エコキュートの導入を検討している方、またはすでに使っていて「シャワーの勢いが弱くて不満」と感じている方も多いのではないでしょうか。エコキュートは光熱費が安くなる一方で、水圧が弱いというイメージは根強くあります。
結論からお伝えすると、エコキュートが水圧が弱いと言われるのは、お湯を貯湯タンクにためる仕組み(減圧弁方式)が原因です。しかし、最新の技術によって、この水圧の弱さは劇的に改善されています。
たとえば、従来のガス給湯器は水道の圧力をそのまま利用する「水道直圧式」で勢いが強かったのに対し、エコキュートは安全のため圧力を抑える仕組みでした。しかし、現在では「高圧タイプ」や「高圧パワフル給湯」といった機種を選ぶことで、2階のシャワーや2箇所同時にお湯を使うときでも、快適な勢いを確保できるようになっています。
この記事を最後まで読めば、エコキュートの水圧が弱い根本原因から、自分でできる水圧改善の裏ワザ、そしてシャワーの勢いを劇的に変える高圧機種の選び方までがわかります。水圧の問題を解消し、快適なエコキュート生活を送りましょう。
エコキュートの水圧が弱いと言われる理由と仕組み
エコキュートの水圧について考える上で、まず知っておきたいのは、なぜエコキュートが従来の給湯器と比べて水圧が弱いと言われるのかという根本的な仕組みです。
仕組みは「減圧弁方式」が基本:水圧が弱くなる原因
エコキュートは、水道水を貯湯タンク内に引き込み、電気と空気の熱でお湯を沸かし、そのお湯をタンク内にためておきます。この貯湯タンクにお湯をためるという仕組みが、水圧が弱くなる原因です。
貯湯タンクは、大きな魔法瓶のような構造で、タンクの安全性と耐久性を保つために、水道の高い圧力(直圧)をそのままかけ続けることはできません。そのため、タンクに入る直前に「減圧弁」という部品で圧力を意図的に下げてからお湯を貯めます。
お湯を使うときは、この減圧されたタンク内のお湯が送られてくるため、必然的にシャワーなどの勢いが弱くなってしまうのです。
水圧が弱いと影響が出る主な場所(シャワー・2箇所同時使用)
エコキュートの水圧の弱さは、特に次の2つの状況で不満につながりやすいです。
- シャワー: 従来のガス給湯器からエコキュートに替えた人が、最も不満を感じるのがシャワーの勢いです。「チョロチョロとしか出ない」「洗い流すのに時間がかかる」といった不満につながりやすいです。
- 2箇所同時使用: 台所で食器を洗っているときに、誰かがお風呂のシャワーを使うなど、複数箇所で同時にお湯を使うと、水圧が分散してしまい、さらに勢いが弱くなります。特に2階でシャワーを使う場合、この影響は顕著になります。
水道直圧式給湯器とエコキュートの水圧比較(表)
水圧の違いを具体的に理解するために、従来の給湯器とエコキュートの水圧を比較します。水圧は「メガパスカル(MPa)」という単位で表され、数値が大きいほど勢いが強いことを意味します。
| 給湯器の種類 | 給湯方式 | 水圧の目安(MPa) | シャワーの勢い |
|---|---|---|---|
| ガス給湯器・石油給湯器 | 水道直圧式 | 0.5〜1.0 | 勢いが強い |
| エコキュート(標準) | 減圧弁方式 | 0.17〜0.20 | 勢いが弱い |
| エコキュート(高圧) | 減圧弁方式 | 0.25〜0.29 | 勢いは改善される |
| エコキュート(パワフル) | 減圧弁方式 | 0.35以上 | 非常に改善される |
※水圧の数値はメーカーや機種によって異なります。
水圧不足を解消!「高圧タイプ」エコキュートの選び方
水圧の弱さは、機種選びで解決できます。導入を検討している場合は、水圧を強化した「高圧タイプ」を選ぶのが基本です。
最新の高圧モデルはどこまで水圧を改善できるのか
現在、各メーカーから販売されている「高圧タイプ」のエコキュートは、タンクの耐久性を確保しつつ、水圧を高めるための技術が導入されています。
- 約1.5倍の改善: 標準タイプ(0.17MPa)と比べると、高圧タイプ(0.25〜0.29MPa)は、約1.5倍の水圧を実現しています。これにより、多くの場合でシャワーの勢いの不満は解消されます。
- 2階でも快適: さらに強力な「高圧パワフル給湯タイプ」であれば、水圧が0.35MPa以上に設計されており、3階への給湯や、2箇所同時にお湯を使うときでも、快適な勢いを確保できるようになっています。
失敗しない!メーカー別「高圧モデル」の名称と性能
高圧タイプは、メーカーによって呼び名や水圧の数値が異なります。カタログで確認する際の参考にしてください。
| メーカー名 | 高圧モデルの主な名称 | 水圧(MPa)の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| パナソニック | パワフル高圧 | 0.28〜0.45 | 豊富なラインナップで高水圧を実現 |
| ダイキン | パワフル高圧給湯 | 0.32〜0.36 | 特にパワフルな水圧が強み |
| 三菱 | ハイパワー給湯 | 0.29〜0.36 | 高い水圧と浴槽へのスピード給湯に優れる |
| コロナ | 高圧力タイプ | 0.29〜0.45 | 業界最高水準の超高圧モデルも提供 |
ご自宅の使用状況(階数、同時使用の頻度)に合わせて、0.3MPa以上のパワフルな機種を選ぶと、より安心です。
集合住宅や3階給湯に必要な「高圧パワフル」の基準
特に、2階や3階で安定した水圧を確保したい場合は、より強力なモデルが必要です。
- 2階のシャワー: 2階のシャワーまで勢いよくお湯を送るには、最低でも0.25MPa以上の機種を選びたいところです。
- 3階の給湯・2箇所同時: 3階で安定した給湯や、2箇所同時にストレスなく使うには、0.35MPa以上の「高圧パワフル給湯タイプ」を選びましょう。
設置場所の高さ(給湯器とシャワーの落差)が水圧に大きく影響するため、設置業者に「○○階でシャワーを使いたい」と具体的に伝え、必要な水圧の機種を選んでもらうことが大切です。
シャワーの勢いを劇的に改善!自分でできる水圧アップ策
既存のエコキュートを使っていて水圧に不満がある場合でも、機種交換なしに自分でできる簡単な改善策があります。
意外と効果的!給水ストレーナーの掃除
水圧が弱くなる原因として、給水経路にあるフィルター(ストレーナー)の詰まりが非常に多く見られます。
- ストレーナーとは: 貯湯タンクの給水口などにある、水道水に含まれるゴミや砂を取り除くための網状のフィルターです。
- 掃除のメリット: ここにゴミがたまると、水の通り道が狭くなり、水圧が低下します。定期的に掃除することで、水圧が回復することがあります。
- 手順: 掃除は簡単です。必ず貯湯タンクの給水栓を閉めてから、フィルター部分を取り出し、歯ブラシなどで優しく水洗いするだけでOKです。
シャワーヘッドを高水圧・節水タイプに交換する
最も手軽で、効果を感じやすい対策が、シャワーヘッドの交換です。
- 水圧改善の仕組み: 最新の高水圧・節水シャワーヘッドの多くは、水の出口を小さく絞り込むことで、少ない水量でも水の勢いが増すように設計されています。
- メリット: 本体をいじらずにシャワーの勢いだけを改善でき、同時に節水効果も得られます。
ホームセンターや家電量販店で、「増圧」や「低水圧用」と書かれたシャワーヘッドを選んでみましょう。
給湯温度を上げる設定変更で水圧を強く感じる方法
水圧そのものは変わりませんが、体感的にシャワーの勢いを強く感じられる裏ワザがあります。
- 設定温度を上げる: 給湯温度をいつもより高く(例:45度→50度)設定します。
- 蛇口で調整: 蛇口をひねって、水側を多く開いて温度を調節します。
給湯温度が高くなると、給湯器から出てくるお湯の流量が絞られますが、水と混ぜる量が増えるため、「水」と「お湯」を合わせた総水量が増え、結果としてシャワーの勢いが強く感じられます。ただし、この方法はお湯の消費量が増えるため、注意が必要です。
急に水圧が弱くなった?水圧低下の原因と故障のサイン
今まで普通に使えていたのに、急に水圧が弱くなった場合は、単なる不満ではなく、何らかのトラブルが発生している可能性があります。
フィルター詰まり以外の原因(断水・減圧弁の故障)
急な水圧低下の場合、以下の2つが考えられます。
- 断水や工事: ご近所で水道工事や断水が行われていないか確認しましょう。工事の後に水道管の中に空気やゴミが入り込み、一時的に水圧が弱くなることがあります。
- 減圧弁の故障: 貯湯タンクに入る水道水の圧力を調整する「減圧弁」が、経年劣化(古くなること)でうまく機能しなくなり、水の通りが悪くなっている可能性があります。これは、専門業者による交換が必要です。
2箇所だけ水圧が弱い場合のチェックポイント
家全体の水圧ではなく、特定の場所だけ(例:キッチンだけ、2階の洗面所だけ)水圧が弱い場合は、エコキュート本体ではなく、末端の設備に問題がある可能性が高いです。
- 蛇口の詰まり: 蛇口の吐水口や、内部のパッキンに汚れやサビが詰まっている。
- 給水管の老朽化: 特に古い住宅の場合、給水管がサビで細くなっている。
この場合は、エコキュートの業者ではなく、水道工事の専門業者に相談してください。
異音やエラーコードが出た場合の対処法
水圧低下と同時に、「変な音がする」「リモコンにエラーコードが表示された」という場合は、給湯器内部の深刻な故障が疑われます。
- 異音: 「ウォンウォン」といった減圧弁の振動音や、「キーン」という配管の共鳴音が聞こえたら、すぐに運転を停止し、業者に連絡しましょう。
- エラーコード: 「H」や「C」から始まるエラーコード(例:三菱 C21)は、センサーや通信系の異常を示すことが多く、水圧調整に関わる部品の故障が原因である可能性があります。
水圧を上げるためのリフォーム費用と業者選びの注意点
自分でできる対策を試しても水圧が改善しない場合は、給湯器の交換やリフォームが必要になります。
一般タイプから高圧タイプへの交換にかかる費用目安
水圧を根本的に解決するには、一般タイプのエコキュートを「高圧タイプ」に交換するのが最も効果的です。
- 本体価格: 標準タイプよりも高圧タイプの方が、耐久性を高めるための部品が使われている分、本体価格は数万円〜10万円ほど高くなります。
- 工事費: 一般的な交換工事費を含めて、総額で40万円〜60万円程度が目安となります(機種や地域、設置状況によって大きく異なります)。
高圧タイプに替えるメリットは、単に水圧が強くなるだけでなく、2箇所同時使用やお風呂への給湯スピードも向上することです。
配管口径を変更して水圧を上げる方法(リフォーム)
エコキュートを交換せずに水圧を上げる最終手段として、配管そのものの口径(太さ)を太くするリフォーム工事があります。
- リフォームの対象: 貯湯タンクからシャワーなどの水栓に向かう給湯配管を太いものに交換します。
- 費用と手間: 壁や床を剥がす大掛かりな工事になり、数十万円の費用と、数日間の工事期間が必要です。
この方法は、特に築年数が古い住宅で、配管自体が細いために水圧が弱い場合に有効ですが、費用対効果を考えると給湯器の交換と同時に行うのが最も効率的です。
高圧工事を依頼するときの業者の選び方
エコキュートの交換や水圧改善工事を依頼する際は、次の点に注意して業者を選びましょう。
- 高圧機種の取り扱い実績: 高圧タイプの設置経験が豊富で、機種ごとの特性を理解している業者を選びます。
- 現地調査の徹底: 水圧は家の給水環境に大きく左右されるため、事前に水道の元栓の圧力などを測り、適切な機種を提案してくれる業者を選びましょう。
- 保証とアフターフォロー: 高水圧機種は、標準機種よりも部品への負担が大きい場合があるため、設置後の保証やアフターフォローがしっかりしているかを確認することが重要です。
まとめ
エコキュートの「水圧が弱い」というイメージは、貯湯タンクにためる仕組みが原因でしたが、最新の「高圧タイプ」や「高圧パワフル給湯タイプ」を選ぶことで、その問題はほぼ解決できます。
- エコキュートを選ぶ際は、水圧の数値(MPa)を確認し、2階でのシャワー使用を考えている場合は0.25MPa以上、3階や同時使用が多い場合は0.35MPa以上の機種を選びましょう。
- 既存機種で水圧に不満がある場合は、シャワーヘッドの交換や給水ストレーナーの掃除といった、自分でできる簡単な方法から試してみましょう。
- 急な水圧の低下や異音が伴う場合は、減圧弁の故障など、修理が必要なトラブルのサインかもしれません。放置せず、早めに専門業者に相談することが大切です。
水圧の問題を解決し、エコキュートの省エネメリットと快適なシャワータイムを両立させましょう。
































