2022年10月25日
エコキュートのメリット・デメリットは?仕組みや注意点などを分かりやすく解説
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を作る給湯器システムです。ガス給湯器や電気温水器と違った仕組みの給湯器なので、メリットやデメリットも異なります。
そこで今回は、エコキュートのメリットやデメリットについて解説します。基本的な仕組みや注意点なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートの仕組み
エコキュートは再生可能エネルギーを使う高効率な給湯器システムです。大気の熱を集めて、ヒートポンプユニットで熱エネルギーに変えてお湯を作ります。
基本的な仕組みはどのメーカーのエコキュートでも同じです。
まず、ヒートポンプユニットにあるファンで大気の熱を集めると、蒸発器で冷媒に熱を伝えます。
熱を持った冷媒はコンプレッサで圧縮され高温となり、水熱交換器で水に熱を伝えてお湯を沸かします。熱を伝えた冷媒は、次の熱を作るためにヒートポンプユニット内部で循環します。
次に、水熱交換器で温められたお湯は貯湯タンクユニット内部に貯められます。そして、必要に応じてお風呂やキッチンなど各所に給湯され、お湯として利用できます。
エコキュートはヒートポンプユニットによって、1の電気エネルギーで3以上の給湯エネルギーを効率よく生み出します。そのため、ガス給湯器や電気温水器に比べると、非常に高効率な給湯器システムと言えます。
エコキュートのメリット
エコキュートのメリットは以下のとおりです。
- お湯を作るランニングコストが少ない
- CO₂の削減につながる
- 災害時にお湯を生活用水として利用できる
- ガス火災の心配が少ない
上記のメリットを順番に解説します。
お湯を作るランニングコストが少ない
エコキュートの最大のメリットは、お湯を作るランニングコストが少ないことです。
ランニングコストとは、お湯を作るために掛かる電気代やガス代などの費用のことで、エコキュートは1の電気エネルギーで3以上の給湯エネルギーを生み出すため、他の給湯器システムに比べてランニングコストが抑えられています。
次の表は、同じ湯量を沸かすために必要な年間のランニングコストを比較したものになります。
エコキュート電気温水器石油給湯機ガス給湯器北海道電力エリア
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
ライフスタイルや家族の人数によって、実際のランニングコストは異なりますが、表にあるようにエコキュートは他の給湯器に比べてお湯を作る費用が抑えられています。
例えば、東北電力エリアの方がガス給湯器からエコキュートへ交換した場合、年間約82,800円も節約できます。お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できるのは魅力的なメリットです。
CO₂の削減につながる
エコキュートのメリットとして、ガス給湯器や電気温水器に比べてCO₂排出量の削減につながることもが挙げられます。
エコキュートは熱を発生させるのではなく、空気の熱を水に移動させる熱交換を行っているので、CO₂の排出量は少ないです。
一方で、ガス給湯器はガスを燃やしてパイプを直接温め、電気温水器は電気を流して発熱させる電熱ヒーターで水を温めているため、お湯を作る過程で一定量のCO₂を排出します。
熱交換だけでお湯を作るエコキュートは他の給湯器システムに比べて効率が良く、使用条件にもよりますが従来の給湯器システムに比べてCO₂排出量が約54%も削減可能です。
災害時にお湯を生活用水として利用できる
エコキュートは貯湯式給湯器のため、災害時にお湯を生活用水として利用できるメリットがあります。
貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯は、外部から操作することで汲み出すことが可能です。貯湯タンクユニットの一般的なサイズは370Lで、2Lのペットボトル約175本分のお湯を生活用水として確保できます。
ガス火災の心配が少ない
エコキュートを利用していれば、ガス漏れやガス火災などの心配をすることが少なくなります。
給湯器は10年以上使用していると故障する確率が格段に上昇します。原因は長期間の使用によって部品が劣化したことで、報告された故障の57%が火災を伴う事故です。
ガス給湯器からエコキュートに交換すれば、給湯器によるガス火災の心配はなくなります。また、一緒にガスコンロからIHクッキングヒーターに交換すれば、ガス会社と契約を結ぶ必要がなくなり、ガス火災が起きる可能性を減らせます。
エコキュートのデメリット
エコキュートのデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が高額になりやすい
- 湯切れが発生する
- 水圧が弱い
上記のデメリットを順番に解説します。
初期費用が高額になりやすい
エコキュートの最大のデメリットは初期費用が高額になりやすいことです。
初期費用とは、給湯器の本体価格と工事費用の合計金額のことです。一般的なガス給湯器の初期費用の相場が15万円~25万円に対して、エコキュートは給湯専用でも30万円前後、フルオートタイプで高性能な製品になると50万円以上することも珍しくありません。
電気温水器が20万円~35万円、石油給湯器が12万円~23万円程度と他の給湯機と比較してもエコキュートの初期費用は高いです。
ただし、エコキュートはトータルコストを考えると、他の給湯器よりもお得とも言えます。トータルコストとは、給湯器を設置した初期費用と使用し続けた期間のランニングコストを合計した費用のことです。
例えば、15万円のガス給湯器と、50万円のエコキュートを購入した場合の初期費用の差額は35万円です。しかし、ランニングコストは東北電力エリアだとガス給湯器よりもエコキュートのほうが年間約82,800円もお得です。
つまり、初期費用の差額35万円は、エコキュートを5年間使用すれば回収でき、5年目以降は年間約82,800円の節約が可能になります。
確かに、エコキュートは初期費用が他の給湯機よりも高額になりやすいですが、トータルコストで比較すると、十分お得な給湯機と言えます。
湯切れが発生する
エコキュートはお湯を使いすぎると、日中に湯切れを起こすリスクがあります。
エコキュートは貯湯式給湯器で、夜間にお湯を作り、日中に消費する仕組みとなっています。そのため、日中にお湯を使いすぎてしまうと湯切れが発生して、お湯が沸くまで使えません。
エコキュートを購入する際は、家族の人数に合ったサイズの貯湯タンクユニットを選び、湯切れを起こさないように注意しましょう。
水圧が弱い
エコキュートはガス給湯器に比べると水圧が弱いと言われます。
ガス給湯器は瞬間式給湯器のため、水道水を直接温めて各所に給湯します。その際に水道水の水圧を利用しているため、シャワーやお湯はりの勢いは強い傾向があります。
一方、エコキュートは貯湯式給湯器のため、水道水の水圧を残したままお湯を貯めると、貯湯タンクユニットが変形、あるいは破損する恐れがあります。そのため、エコキュートでは水道水の水圧を下げてから、お湯を貯めています。
最近のエコキュートはパワフル給湯タイプが増えており、水圧が300kPa前後の商品が多くなっています。
しかし、ガス給湯器に比べると水圧はまだ弱いので、シャワーの勢いが強いほうが好みの方は、日立の水道直圧給湯エコキュートをチェックしてみましょう。
エコキュートを購入する際の注意点
エコキュートを購入する際は次のポイントに注意しましょう。
- メーカーによって機能や特徴が異なる
- エコキュートは電気料金プランを変更する
- エコキュートのお湯は飲料水に適していない
上記の注意点を順番に解説します。
メーカーによって機能や特徴が異なる
エコキュートは基本的な仕組みは同じですが、メーカーによって機能や特徴が大きく異なります。
例えば、エコキュートは貯湯式給湯器が一般的ですが、日立では瞬間式給湯器に近いタイプの「ナイアガラタフネス」を販売しています。
日立の「ナイアガラタフネス」は貯湯タンクユニットにお湯を貯めるところまでは他メーカーのエコキュートと同じですが、貯湯タンクユニットに貯めたお湯で水道水を温めます。
プレート式給湯熱交換器によって、貯湯タンクユニットのお湯の熱を水道水に移すので、水道水の水圧をそのまま利用できます。また、「ナイアガラタフネス」は独自構造の採用により、硬度の高い水道水や井戸水にも対応しているなどの特徴があります。
エコキュートはメーカーや機種によって搭載されている機能や特徴が異なります。自分のライフスタイルや求めている機能によって選択肢が違ってくるので、エコキュートを選ぶ時は比較してみましょう。
エコキュートは電気料金プランを変更する
エコキュートは電気料金が安い深夜にお湯を作るシステムのため、設置すると電気料金プランを変更することになります。
例えば、東北電力と契約している方は、オール電化住宅向けの料金プラン「よりそう+シーズン&タイム 」に切り替えます。
電力量料金(1kWh) | |||
---|---|---|---|
オフピーク (季節によって時間帯は変動する) |
ピーク時間 (季節によって時間帯は変動する) |
夜間 (22時~8時) |
|
冬季 (12月~翌年の2月) |
26.73円 (8時~16時・18時~22時) |
43.14円 (16時~18時) |
11.43円 |
夏季 (7月~9月) |
26.73円 (8時~10時・17時~22時) |
43.14円 (10時~17時) |
|
その他季 (3月~6月・10月~11月) |
39.22円 (10時~17時) |
表にあるように、エコキュートの電気料金プランは深夜だと安いですが、日中だと高い傾向があります。そのため、日中に人がいる、あるいは家電製品を多く使用する家庭だと、電気料金自体が高額になる可能性が高いです。
エコキュートのお湯は飲料水に適していない
エコキュートのお湯はシャワーやお湯はりなどに利用できますが、飲料水に適していません。
エコキュートは貯湯タンクユニットにお湯を貯めた時点で水道水に含まれているカルキが消えてしまうため、水道法における水質基準を満たしていません。また、タンク内部に汚れが蓄積されていれば、お湯の中に不純物が混ざっている可能性があります。
そのため、メーカーは「お湯を生活用水として利用するなら問題ないが、飲用水としては相応しくない」と発表しています。
また、貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯は65℃~90℃と高温です。本来なら水道水と混ぜて温度を下げてから使用するのですが、貯湯タンクから直接取り出す場合は、設定した温度のままなので、やけどを負うリスクがあります。
以上のことから、エコキュートのお湯を災害時に利用する場合は、身体を拭く、皿やコップなどの食器を洗う、トイレを流すなどの生活用水として利用しましょう。
まとめ
以上が、エコキュートのメリット、デメリットの解説になります。エコキュートはお湯を作るランニングコストを抑えることができ、環境に優しく、災害時に備えることができるなどのメリットがあります。
一方で初期費用が高い、湯切れのリスクがあるなどのデメリットも指摘されています。しかし、エコキュートのデメリットはメリットや使い方によってカバーできる内容なので、あまり気にしなくても良いです。
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