2025年6月23日
エコキュートからガス給湯器へ買い替える理由とは?メリットやデメリットなどを解説

エコキュートを利用していて不満を感じた方が、ガス給湯器への買い替えを検討することは珍しくありません。
確かに、ガス給湯器へ買い替えることで幾つかのメリットは得られます。
しかし、エコキュートからガス給湯器への買い替えはメリットよりもデメリットのほうが多いため、あまりおすすめできません。
本記事では、エコキュートからガス給湯器への買い替えに関して解説します。ぜひ最後まで、ご覧ください。
エコキュートからガス給湯器へ買い替える理由とは?
エコキュートからガス給湯器への買い替えを検討する人の多くは、日々の使用における「ちょっとした不満」の積み重ねが原因です。
特に多く聞かれるのが「お湯切れ」や「使いたいときに十分な湯量がない」といった不満になります。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かしておく貯湯式給湯器です。電気料金単価が抑えられている夜間にお湯を沸かしておき、日中に消費するタイプの給湯器のため、お湯を使いすぎると無くなってしまう場合があります。
つまり、エコキュートは沸かす湯量や貯湯容量、ライフスタイル、消費量が適切でない場合、使いたいときにお湯がすぐに使えないケースが多いです。
また、エコキュートは夜間の電気料金単価がお得な季節別時間帯別電灯と契約しますが、昼間の電気料金が割高になる可能性を否定できません。
次の表は、東北電力エリアでエコキュートを設置した場合に契約する、「よりそう+ナイト&ホリデー」の内容をまとめたものです。
区分 | 単位 | 料金単価(税込) | ||
---|---|---|---|---|
電力量料金 | 平日昼間 | 最初の60kWhまで | 1kWh | 34円79銭 |
60kWhをこえ140kWhまで | 1kWh | 43円55銭 | ||
140kWhをこえる | 1kWh | 50円11銭 | ||
休日
夜間(休日を除く日の22時から8時まで) |
1kWh | 27円27銭
|
エコキュートはお湯を沸かすためのランニングコストを抑えられる給湯器ですが、家族構成や働き方により電気の使い方が昼間中心では、電気料金が高くなりやすいです。
そのため、「必要なときにすぐにお湯が使える」「昼間の電気料金が高騰する」などの理由から、エコキュートからガス給湯器へ買い替える方はいます。
エコキュートからガス給湯器へ買い替えるメリット
エコキュートからガス給湯器へ買い替えるメリットは、主に以下のとおりです。
- エコキュートよりも使いやすい
- コンパクトで設置場所を選ばない
上記を順番に解説します。
エコキュートよりも使いやすい
エコキュートは貯湯式給湯器で、深夜に沸かしたお湯を貯湯タンクユニットに溜めておき、日中にそのお湯を使う仕組みです。
一方、ガス給湯器は水道水をその場で加熱する「瞬間式給湯器」のため、お湯を使いたいときにすぐに利用でき、湯切れの心配がありません。冬場に来客が多くなったり、お湯の消費量が極端に増えたりする場合でも対応できます。
また、エコキュートはお湯を溜めておくときに減圧する仕組みで、シャワーや給湯時の水圧が300kPa前後とやや弱めです。
ガス給湯器は水道水の水圧をそのまま利用できるため水圧が最大500kPaとなり、人によってはエコキュートのシャワーの勢いに物足りなさを感じる場合があります。
つまり、エコキュートよりもガス給湯器のほうが湯切れの心配が無く、水圧が強いなどの点で使いやすい給湯器です。
コンパクトで設置場所を選ばない
エコキュートはお湯を沸かすためのヒートポンプユニットと、溜めておく貯湯タンクユニットの2つの機器を設置します。
ヒートポンプはエアコンの室外機に似た形状ながら一回り以上大きく、貯湯タンクユニットは背丈を超えるサイズです。
どちらも屋外に設置する機器ですが、敷地が狭いと通路を塞ぐような設置となり、通行の妨げになる可能性があります。
また、貯湯容量が370Lクラスなら満水時に500kgを超える重量になるため、地盤が軟弱な場所では基礎工事が必要です。
一方、ガス給湯器は非常にコンパクトで、ほとんどの製品が壁掛け設置に対応しています。敷地に余裕がない住宅や隣家との距離が近い都市部の住宅では、ガス給湯器のほうが圧倒的に設置しやすく、導入や設置のしやすさが大きなメリットです。
エコキュートからガス給湯器へ買い替えるデメリット
エコキュートからガス給湯器へ買い替えるデメリットは、主に以下のとおりです。
- お湯を沸かすためのランニングコストが高くなる
- ガス工事や撤去費用がかかる
- オール電化契約からの切り替えが必要
- 災害時の復旧が遅れる可能性がある
- 再エネ性が低下する
上記を順番に解説します。
お湯を沸かすためのランニングコストが高くなる
エコキュートは、電気と空気中の熱を利用するヒートポンプ技術によって、高効率にお湯を沸かすことが可能です。
また、電気量料金単価が安い季節別時間帯別電灯プランにより、1日のうち安価な時間帯の電気を使って沸き上げるため、お湯を沸かすためのランニングコストを抑えやすいという特徴があります。
次の表は、宮城県で家族4人住んでいる場合のお湯を沸かすためのランニングコストをシミュレーションしたものです。
エコキュート | ガス給湯器(都市ガス) | |
---|---|---|
1月 | 7,434円 | 13,006円 |
2月 | 6,759円 | 12,134円 |
3月 | 7,037円 | 12,928円 |
4月 | 4,872円 | 11,531円 |
5月 | 4,654円 | 10,612円 |
6月 | 3,768円 | 8,914円 |
7月 | 3,087円 | 8,093円 |
8月 | 2,668円 | 7,409円 |
9月 | 2,939円 | 7,660円 |
10月 | 3,990円 | 9,112円 |
11月 | 4,483円 | 10,313円 |
12月 | 6,411円 | 11,796円 |
年間 | 58,102円 | 123,508円 |
実際のランニングコストを保証するものではありませんが、エコキュートからガス給湯器へ買い替えることで、コストが年間6万円以上増加する可能性があります。
確かに、エコキュート利用者のなかには、昼間の電気単価が高いために電気料金全体が上がるという声もありますが、ガス給湯器に切り替えた結果、ガス代が想定以上に増加し、光熱費全体で見るとむしろ増えてしまったというケースも少なくありません。
エコキュートからガス給湯器へ買い替える場合は、長期的なランニングコストをシミュレーションしましょう。
ガス工事や撤去費用がかかる
エコキュートとガス給湯器はお湯を沸かすための仕組みやエネルギーが異なるため、単純な「機器の買い替え」では済みません。
ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットの撤去と新しいガス給湯器の設置工事、必要な配管工事などを含めると、全体で15万〜30万円程度の費用がかかるのが一般的です。
さらに、近年の新築住宅はオール電化仕様でガス配管がそもそも敷設されていないケースもあり、この場合は新たに敷地内にガス管を引き込む必要があります。都市ガスを利用する場合の追加費用の相場は、10万〜20万円です。
エコキュートからガス給湯器へ買い替える場合は、想定外の工事費が発生しやすいため、事前に現地調査と見積もりをしっかりと行い、全体の費用を把握しましょう。
オール電化契約からの切り替えが必要
エコキュートを導入している家庭では、季節別時間帯別電灯などのオール電化専用プランを契約しています。
しかし、ガス給湯器に切り替える場合は、契約の解約や電力プランの変更を検討する必要があります。
また、ガス給湯器の使用には当然ながらガスが必要となるため、新たに都市ガスやプロパンガス会社と契約しなければなりません。
ガスの契約では、ガス開栓の立ち会いや初期費用も発生するため、意外と手間のかかる作業です。
エコキュートからガス給湯器へ買い替える場合、契約しているプランが変更になる点に注意しましょう。
災害時の復旧が遅れる可能性がある
震災や災害時には、電気・水道・ガスといったライフラインが同時に損傷することがありますが、復旧が最も遅れる傾向にあるのがガスです。
一般的に、電気は数時間から数日、水道は1週間前後で復旧するのに対し、ガスは点検や安全確認に時間を要するため、2週間以上かかることもあります。
実際、2016年の熊本地震では電気が2~5日で復旧しましたが、ガスの復旧には2週間程度を要しました。
エコキュートは電気と水道が復旧すれば再び使用できるため、ガス給湯器と比べて災害時の回復が早いと言えます。
さらに、太陽光発電と併用していれば停電時でも一部給湯が可能なケースもあり、備えとしての安心感があります。加えて、エコキュートの貯湯タンクに溜めたお湯は生活用水としても活用可能です。
ガス給湯器はエコキュートに比べると災害対応力に乏しく、いざという時の不便さが目立ちます。
再エネ性が低下する
エコキュートは、ヒートポンプ技術を用いて空気中の熱を活用する再生可能エネルギー機器に分類されており、環境負荷の低い給湯方法とされています。
消費する電力に対して効率よくお湯を沸かすことができ、政府や自治体からも省エネ・再エネ機器として補助金の対象になるケースが多いです。
一方、ガス給湯器は都市ガスやLPガスといった化石燃料を直接燃焼させてお湯を作るため、使用するたびにCO₂を排出し、環境への負担が大きくなります。
ガス給湯器は再エネ機器ではないため、基本的に導入に際しての補助金対象外であり、金銭的な支援を受けにくいです。
再エネ性や省エネ性能を重視する家庭にとっては、ガス給湯器への買い替えは慎重な判断が求められます。
ガス給湯器に買い替えずにエコキュートをお得に利用するためのポイント
ガス給湯器に買い替えずにエコキュートをお得に利用するためのポイントは、主に以下のとおりです。
- 湯切れが発生しないようにする
- 節水シャワーヘッドを利用する
- 太陽光発電設備を導入する
上記を順番に解説します。
湯切れが発生しないようにする
エコキュートからガス給湯器へ買い替える場合の理由が「湯切れ」なら、お湯の使い方を見直してみましょう。
例えば、フルオートタイプの「追い焚き」機能はお湯を温めなおす機能ですが、利用し過ぎると貯湯タンクユニット内に溜めてあるお湯の温度が下がってしまい、結果として湯切れを招きやすくなります。
そのため、お湯が冷めてしまう前に順番にお風呂に入るようにスケジュールを調整しましょう。
また、家族の人数やライフスタイルの変化によってお湯を消費する量は変化します。子供が増えた、成長したなどの理由で湯切れが発生しやすい場合は、貯湯容量が大きいエコキュートへの買い替えもおすすめです。
節水シャワーヘッドを利用する
エコキュートからガス給湯器へ買い替える場合の理由が「水圧が弱い」なら、節水シャワーヘッドを利用しましょう。
節水シャワーヘッドは、シャワー内部に圧力をかけて水を細く勢いよく噴出させる構造をしており、少ない水量でも十分な体感水圧を得ることが可能です。
水圧の不満を解消しながら、月々の光熱費や水道代を削減できるため、エコキュートからガス給湯器へ買い替える前に一度試してみる価値は十分にあります。
また、大半のエコキュートは貯湯式給湯器ですが、日立では水道直圧給湯器のエコキュートを販売しています。
ヒートポンプユニットでお湯を沸かして貯湯タンクユニットで溜めておくまでは同じですが、日立の水道直圧給湯器は溜めておいたお湯を熱源に水道水を温める仕組みです。
実際に給湯されるお湯は減圧されていないため、ガス給湯器と同程度の水圧を体感できます。
エコキュートの水圧に不満がある方は、節水シャワーヘッドや日立の水道直圧給湯器を試してみましょう。
太陽光発電設備を導入する
エコキュートからガス給湯器へ買い替える理由が「電気料金の高騰」なら太陽光発電システムや蓄電池の導入を検討しましょう
太陽光発電システムがあれば、日中に発電した余剰電力の自家消費により、電力会社からの購入電力量を大きく抑えることができます。
また、蓄電池があれば、深夜の安価な電力を蓄えて日中に使用することも可能です。
光熱費の削減とともに再エネの活用による環境貢献も期待できため、検討をおすすめします。
まとめ
以上が、エコキュートからガス給湯器へ買い替える場合の解説です。
確かに、エコキュートはガス給湯器に比べると使いづらい、水圧が弱いなどのデメリットがあり、買い替えを考えたくなります。
しかし、お湯を沸かすためのランニングコストやガス工事、契約変更の手続き、災害時の復旧などを考慮すると、エコキュートからガス給湯器への買い替えはあまりおすすめできません。
エコキュートがガス給湯器に比べて使いづらい、水圧が弱いなどのデメリットは、事前に適切な機器を選んでおけば、ある程度は回避できるデメリットです。そのため、エコキュートを選ぶ際にはある程度の知識が必要になります。
「エコざんまい」は商品知識が豊富なスタッフが対応しますので、エコキュートの購入を考えている方は、ぜひご相談ください。