2023年6月29日
灯油ボイラーからエコキュートに変えても大丈夫?両者の特徴を徹底比較!
「灯油ボイラーを買い替えたい!」と考えたとき、従来型の灯油ボイラーや高効率石油給湯器であるエコフィール、エコキュートなどさまざまな選択肢があります。いったいどれを選ぶとよいのでしょうか。
今回は灯油ボイラーとエコキュートの特徴やメリットを比較し、どちらを選択すればよいかの判断材料を提供します。
灯油ボイラーの特徴とメリット
寒冷地に住む人にとってなじみ深い灯油ボイラー。20〜30年前は一般的な家庭でもよく使用されていました。現在でも豪雪地帯や寒冷地で使用されています。灯油ボイラーの特徴やメリットについて解説します。
灯油ボイラーとは?
灯油ボイラーとは灯油を燃料としてお湯を沸騰させる給湯機のことで、石油給湯器とも言います。灯油は石油製品の一つですが、ガソリンや軽油とは異なる物質です。灯油の燃焼のさせ方により、噴霧式や気化式といった種類があります。
灯油ボイラーの形は円形・角形・壁面取付型とバリエーション豊富ですので、設置する場所に応じて選択できます。
灯油ボイラーには水道直圧式と貯湯式の2種類があります。水道直圧式は使う分だけお湯を沸かすタイプで、水圧が高いのが特徴です。湯切れを起こす心配がなく、温度を細かく調整できます。貯湯式は温めたお湯をタンクに貯めておくタイプですが、湯切れする可能性がありお湯を沸かすのも時間がかかります。
また、灯油ボイラーは燃料として灯油を使うため、専用のタンクを設置しておかなければなりません。
灯油ボイラーのメリット
灯油ボイラーのメリットは以下のとおりです。
- 熱量が高い
- 給湯力が高い
- 電気温水器やガス給湯器よりもランニングコストが安い
灯油ボイラー、中でも最新型のエコフィールは高い熱効率を誇っています。従来型の熱効率が83%程であったのに対し、エコフィールは95%もの熱効率となっています。つまり、灯油が持つ熱エネルギーのほぼすべてを仕様できるため、高い熱量が得られます。
水道直圧式であれば、水道圧をそのまま利用できるため高い水圧でお湯を使えます。湯量も豊富で、燃料である灯油がある限り、お湯を沸かせます。また、一般的な電気温水器やガス給湯器に比べるとランニングコストが安いというメリットもあります。
灯油ボイラーの課題
寒冷地には欠かせない灯油ボイラーですが、利用するうえで課題も少なくありません。
環境負荷が大きい
1つ目の課題は環境負荷が大きいという点です。環境負荷とは、環境に与える悪影響を意味する言葉です。エコフィールは石油を燃焼させてお湯を沸かします。そのため、使用すると二酸化炭素を発生させてしまいます。
二酸化炭素は地球温暖化の原因物質の一つと考えられており、各国で削減が進められています。灯油ボイラーは脱炭素の動きに逆行するという面があるのです。
灯油価格の上昇でコストが上がってしまう
2つ目の課題は経済的な問題です。灯油ボイラーは灯油代が上昇するとランニングコストが上がってしまいます。灯油の価格は原油価格に大きく左右されます。
原油価格を決めるのは、その時々の石油の需給動向です。世界的な好景気、高緯度の国が多い北半球の国々の暖房需要が増える冬、中国やインドなどの新興国での需要増加といった要因が重なると石油価格が高騰する可能性があります。投機的な動きや地政学的なリスクによって高騰するかもしれません。
原油価格が高騰すれば、原油から作られる灯油の価格も高騰し、ランニングコストが上がってしまうのです。
エコキュートの原理とメリット
灯油ボイラーよりもランニングコストが安い高効率給湯器にエコキュートがあります。エコキュートとはどのようなものなのでしょうか。原理とメリットについて解説します。
エコキュートの原理
エコキュートの正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ式給湯器」といいます。ヒートポンプとは空気中の熱を集め、冷暖房用の熱として利用する技術のことです。ヒートポンプを利用している機器としてエコキュートやエアコンがあります。
エコキュートの場合、エアコンの室外機に似たヒートポンプユニットで外気を取り入れ、その外気に含まれる熱を取り出してお湯の沸き上げに利用しています。本体を動かすために電気が必要ですが、外気の熱を利用するため一般的な電気温水器より遥かに少ない電力でお湯を沸かせます。
エコキュートのメリット
エコキュートのメリットは3点あります。
- 光熱費を安くできる
- 二酸化炭素排出量を減らせる
- 断水時などの非常時にタンクのお湯が利用できる
それぞれの内容を見てみましょう。
光熱費を安くできる
最も大きなメリットは光熱費を安くできることです。パナソニックの公式サイトでは以下のように年間ランニングコストを比較しています。
年間コスト | エコキュートとの比較 | |
---|---|---|
エコキュート | 24,000円 | ー |
電気温水器 | 102,000円 | 4倍 |
石油給湯器 | 67,200円 | 3倍 |
ガス給湯器(都市ガス) | 78,000円 | 3倍 |
毎月のランニングコストは2,000円となり、他の給湯器に比べるとかなり格安であることがわかります。昼間に自宅で電気を使わない家庭であれば、昼間が高くなる代わりに夜間に安くなる時間帯別の電力料金をつかい、夜間にお湯を沸き上げることで、さらなる節約が可能です。
二酸化炭素排出量を減らせる
二酸化炭素排出量を減らせるのもエコキュートの良い点です。石油給湯器やガス給湯器は化石燃料を使用するため、使用時に二酸化炭素を排出してしまいます。
また、多くの電力を使ってしまうと、火力発電に依存している日本の現状から考えれば、間接的に二酸化炭素の排出を促進してしまっています。
エコキュートは使用時に二酸化炭素を排出せず、使用する電力量が一般の電気温水器の3分の1程度であるため、二酸化炭素排出量を可能な限り削減しています。その意味で、環境に配慮した給湯方法だといえます。
太陽光発電設備を導入し、その電力を使ってお湯を沸き上げるのであれば、より一層二酸化炭素排出量の削減に貢献できます。
断水時などの非常時にタンクのお湯が利用できる
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つのブロックから成り立っている機器です。仮に、何らかの自然災害が発生して停電になったとしても、使えなくなるのはヒートポンプユニットだけで、貯湯タンク内のお湯は使用できます。
大規模自然災害のときは停電だけではなく断水も発生します。そのときは貯湯タンク内のお湯を生活用水に転用できます。水というと飲料水を真っ先に心配しますが、それ以外にも必要です。食器洗いや洗濯、トイレなど生活のあらゆる場面で水が必要になるからです。
一般に、水道や電気などのライフラインが寸断されたときに支援の手が差し伸べられるまで最低でも72時間(3日)程度かかるとされています。その間、貯湯タンクの水を使って生活を維持することができます。
灯油ボイラーとエコキュートの比較
ここまで、灯油ボイラーとエコキュートの特徴・メリットについてまとめてきました。ここからは、6つの点で灯油ボイラーとエコキュートを比較します。
ランニングコスト
ランニングコストはエコキュートに軍配が上がります。先ほどのパナソニックの事例でわかるとおり、灯油ボイラーのコストはエコキュートの3倍ほどです。
初期費用
初期費用は灯油ボイラーの方が安いです。水道直圧式の本体価格が20〜30万円、工事費が3〜4万円と考えると最大でも40万円以下で設置できます。貯湯式であれば、さらに数万円のコストダウンが可能です。
一方、エコキュートは本体価格・基礎工事・水道工事・電気工事の全てを含めて考えると、30〜50万円程度が相場です。貯湯量が多いタイプであればもっと予算が必要となります。
設置スペース
設置スペースは灯油ボイラーの方が小さくて済みます。灯油ボイラーの主流は水道直圧式であるため、貯湯タンクが不要だからです。エコキュートは必ず貯湯タンクが必要になりますので、設置スペースが大きくなります。基礎工事が必要という点でもエコキュートは不利です。
燃料
こちらはエコキュートの方が有利です。ヒートポンプユニットは電気で動かすため、燃料は不要です。灯油ボイラーは燃料である灯油を保管するための灯油タンクが必要です。
灯油タンクの管理には気を使います。経年劣化して灯油が漏れると家事になる恐れがあるからです。近年は灯油の窃盗事件などもあるため、防犯の面でも注意が必要でしょう。
水圧
水道直圧式の灯油ボイラーが勝ります。貯湯タンク式は水圧が弱くなってしまうため、灯油ボイラーから変更すると、水圧が物足りなく感じるかもしれません。
ただ、水道直圧式に比べ30%程度の水圧しかなかった標準圧のエコキュートに対して、近年は水圧を高めた高圧タイプのエコキュートも発売されています。
高圧タイプなら、人によっては灯油ボイラーとあまり差を感じない場合や、水道直圧式は水圧が強すぎるのでエコキュートの高圧タイプが丁度良い、という方もいます。
補助金
国や都道府県・市町村では、二酸化炭素排出削減のため排出量が少ない機器の導入に補助金を出しています。2023年に国が実施している給湯省エネ事業では、エコキュートや高効率石油給湯器のエコフィールに対し、1台あたり5万円の補助金を出しています。しかし、導入コストが安い従来型の灯油ボイラーには補助金が出ません。
補助金や長期的なコスト削減を意識するならエコキュートがおすすめ
今回は灯油ボイラーとエコキュートの特徴とメリットを比較しました。寒冷地に住んでいる人を中心に灯油ボイラーは根強い需要があります。最新型であるエコフィールにすれば、ランニングコストを削減できるというメリットもあります。
しかし、ランニングコストの面では断然エコキュートの方が有利です。さらに、2023年に国が実施する給湯省エネ事業は13年ぶりの大規模な補助金です。エコフィールも補助金対象ですが、一般的な灯油ボイラーは補助金対象外となってしまいます。
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