2025年7月22日
意外と知らないエコキュートの「追い炊き機能」とは?仕組みやメリットを解説

エコキュートには、忙しい毎日を送る現代人の生活を快適にするさまざまな機能が搭載されています。「追い炊き機能」もその一つです。ところがエコキュートにはさまざまなモデルがあり、追い炊きは全モデルに付いている機能ではありません。そこでどのような機能の付いたエコキュートにしようか迷っている人は、追い炊き機能はあった方がいいのかについても悩まれているのではないでしょうか。意外と知られていないエコキュートの追い炊き機能について、仕組みやメリットなどを詳しく解説していきます。
1.エコキュートとは?
まずは、エコキュートの基本的な構造などについておさえておきましょう。
1-1.エコキュートの基本構造
エコキュートは、大気中の熱を取り込んで少ない電気で効率よくお湯を沸かす「ヒートポンプ技術」を採用しているのが特徴の給湯器です。
具体的には、屋外に設置するエアコン室外機のような見た目の「ヒートポンプユニット」で、大気中の熱を吸収して、冷媒に蓄えます。この冷媒を圧縮すると高温になり、この熱を使って「貯湯ユニット」の水を加熱する仕組みです。
1-2.ガス給湯器との違い
給湯器といえば、ガスで瞬間的にお湯を沸かすガス給湯器が一般的でした。現在も、一戸建てにおける給湯器の割合はガス給湯器が5割、電気給湯器が3割程度です。
エコキュートは、電気と大気中の熱を使って沸かしてためているお湯を使いますが、ガス給湯器はお湯を使うたびに瞬間的にお湯を沸かします。エコキュートの方が、ガス給湯器よりもエネルギー効率がよく、わずかなエネルギーでお湯を沸かせることがわかっています。つまり、ガス給湯器よりも光熱費を大きく削減できるのです。排出する二酸化炭素もエコキュートの方が格段に少ないという違いもあります。
2.給湯器の「追い炊き機能」とは?
給湯機の「追い炊き機能」とはどのような機能なのでしょうか。
2-1.追い炊き機能って、どのような機能?
給湯機の追い炊き機能とは、浴槽にためたお湯が冷めてしまった時に、温め直す機能のことです。たとえ温かいお湯でも、浴槽にためて時間が経つうちに、どうしても冷めていってしまいます。
2-2.高温差し湯との違い
冷めた浴槽のお湯を温める機能として、「高温差し湯」という機能もあります。追い炊き機能と同じように思えますが、どのように違うのでしょうか。
高温差し湯は、お湯の冷めた浴槽に、タンク内の熱いお湯を足して湯温を上げる機能です。湯量はその分増えます。高温差し湯をすれば一時的にお湯の温度は上がるものの、また時間が経てば冷めていきます。
一方で追い炊きは、浴槽の冷めたお湯を循環させて、再度一定の温度まで加熱する方法です。浴槽の冷めたお湯そのものを温めるので、湯量は増えません。
2-3.保温との違い
「保温機能」とは、浴槽のお湯を一定の温度に保つ機能です。どのような仕組みかというと、温度を保つために、冷めてきたお湯を循環させて、再度加熱を繰り返します。この仕組みは、追い炊き機能と同じです。ただし保温機能はあらかじめ設定しておいて、お湯張りと同時に保温されるものの、追い炊きは温めたい時に手動でボタンを押す点が違います。
2-4.エコキュートに追い炊き機能は付いている?
エコキュートにも追い炊き機能付きのモデルがあります。ただし、エコキュートすべてに付いている機能ではありません。追い炊き機能が付いているのは、「フルオートタイプ」です。フルオートタイプは、お湯張りや保温・足し湯や追い炊きなどのあらゆる浴槽管理を自動で行うモデルです。「セミオートタイプ」のエコキュートは、自動湯張りこそできるものの、追い炊き機能は基本的に付きません。フルオートタイプ・セミオートタイプと比べてもっともシンプルなつくりの「給湯専用タイプ」は、設備がシンプルでリーズナブルなものの、自動でお湯を張ったり温度を調節したりできません。
3.エコキュートの追い炊き機能の仕組みを解説!
ここからはエコキュートの追い炊き機能の仕組みを詳しく解説していきます。
3-1.まずはエコキュートの配管について解説
まずは、普段見ることのないエコキュートの配管について解説します。
給湯専用タイプのエコキュートは、蛇口から手動で浴槽にお湯張りするため、お湯をためる貯湯ユニットと浴槽をつなぐ「ふろ配管」はありません。貯湯ユニットから延びる「給湯配管」が、シャワー・蛇口とつながっています。
セミオートタイプのエコキュートは、蛇口・シャワーとつながる給湯配管のほかに、湯張りのために貯湯ユニットと浴槽をつなぐ「ふろ配管」があって、自動で湯張りができます。
フルオートタイプの場合、給湯配管のほかにふろ配管の2本あるのが特徴です。貯湯ユニットから浴槽へとお湯を送る配管1本と、浴槽から貯湯ユニットにお湯を戻す配管が1本というわけです。これが追い炊きを可能にしています。
3-2.エコキュートの追い炊き機能の仕組みとは?
フルオートタイプのエコキュートは、2本の配管で浴槽のお湯を循環させてお湯の温度を保つ仕組みです。具体的には、浴槽のお湯が設定温度より下がると、浴槽のお湯をポンプで吸い上げて、「ふろ戻り配管」を通って貯湯ユニットへ戻します。温まったお湯は「ふろ往き配管」で浴槽に戻されます。2本の配管がお湯の循環ループを作っているのです。お湯を循環させて温め直すので、高温足し湯のように、湯量が増えることはありません。
3-3.追い炊き機能でのお湯の温め方とは?
ここからは、冷めたお湯がどのように温められて浴槽に戻るのかを詳しく解説します。冷めたお湯は、貯湯ユニット内にたまっている高温のお湯の熱を使って温められます。ただし、高温のお湯と冷めたお湯を混ぜるのではありません。タンク内部にある熱交換器を利用します。
熱交換器は、異なる二つの流体を混ぜることなく、熱だけやり取りする装置です。浴槽からふろ戻り配管を通ってきた冷めたお湯は、熱交換器に通ります。反対側では貯湯タンク内の高温のお湯が循環していて、混ざることなく壁越しに熱だけが伝わるのです。
そのため、一度浴槽にためられたお湯と、未使用のお湯が混ざることはなく、清潔さは保たれます。
3-4.追い炊き機能を使った時の電気代は?
追い炊きするのにヒートポンプは使わず、貯湯ユニット内のお湯の熱を使うので、電気は少ししか使いません。ただし、ポンプや熱交換器を作動させるのに、電気は必要です。給湯や沸き上げに比べて、かなり少ない消費電力で済むものの、完全に電気を使わないわけではありません。
3-5.追い炊き機能で湯量めもりが減るのはなぜ?
エコキュートの追い炊き機能は、貯湯ユニット内にある高温のお湯の熱を利用して冷めたお湯を温める仕組みです。貯湯ユニット内にあるお湯を使うのではなく、「熱」だけ使うはずなのに、追い炊き機能を使うと湯量めもりが減るのはご存知でしょうか。
これは、貯湯ユニット内にためられている高温のお湯の熱が奪われたことで、給湯に使えるだけの温度を保ったお湯が減ってしまうため、めもりが下がるのです。エコキュートの湯量めもりは、タンク内の湯量を表示するのではなく、給湯に使える湯量を表示しています。
4.追い炊き機能付きエコキュートのメリットとは?
追い炊き機能付きのエコキュートにすれば、次のようなメリットが得られます。
4-1.入浴に時間がかかっても快適
家族の人数が多いと、どうしても浴槽の湯が冷めていってしまいます。さらに、家族の入浴時間がバラバラだと、全員入るころにはすっかりお湯が冷めてしまいかねません。その点、追い炊き機能があれば、冷めても新しいお湯を張る必要はありません。忙しい現代の家族の生活スタイルにマッチした機能だといえます。
4-2.節電・節水効果
エコキュートの追い炊きは、貯湯ユニットにたまっているお湯の熱を使って温めるので、使用する電気はごくわずかで済みます。また、高温足し湯と違って新しいお湯を足さないので、節水効果もあります。
4-3.お湯切れを防げる
普段の入浴で湯量が足りている場合でも、急な来客時などには冷めたお湯を入れ替えるとなると湯切れが心配です。その点、追い炊き機能があれば素早く湯温を上げられて安心です。
4-4.お湯のムラができにくい
高温足し湯を使った場合、高温のお湯が上部にたまって、お湯の温度にムラができやすいものです。その点追い炊きなら、浴槽のお湯全体を循環させて温めるので、お湯ムラができることなく快適です。
4-5.衛生的
追い炊き機能が付いたフルオートタイプのエコキュートは、大部分にふろ配管の自動洗浄機能も付いています。追い炊き利用後に配管の洗浄をしてくれるので、衛生面でも安心です。
4-6.フルオートタイプならではの充実の機能
追い炊き機能の付いているエコキュートは、フルオートタイプのみです。フルオートタイプのエコキュートなら追い炊き以外にも、ボタン一つで希望の湯量の湯張りができる自動湯張り機能や、一定の湯温を保つ自動保温機能など充実の機能が活用できます。近年、スマホと連動して湯張りなどの遠隔操作ができるモデルも発売されていて、生活スタイルに合った便利な使い方が可能になっています。
5.おもなメーカーのエコキュート、「追い炊き機能」の特徴を紹介!
エコキュートを販売しているおもなメーカーの追い炊き機能について、特徴的な機能をまとめました。(搭載されているのは一部モデル)追い炊き機能付きエコキュートを選ぶ際の参考にしてみてください。
メーカー | 追い炊き機能の名称 | 特徴 |
---|---|---|
三菱電機 | 「マイルド追いだき」と「急速追いだき」 | マイルドに湯温を挙げていきお年寄りや子どもにもやさしい「マイルド追いだき」と、素早く温めたい時の「急速追いだき」が選べる。 |
パナソニック | 「エコナビ」 | 浴室温度や人の入室を感知して省エネ制御。追い炊きも必要な時だけ自動でしてくれる。 |
ダイキン | 無線LAN+アプリで遠隔操作 | 無線LANとアプリで、スマホから追い炊きの遠隔コントロールが可能 |
コロナ | 「ES(エネルギーセーブ)」制御 スマホアプリ「コロナ快適ホーム」での遠隔操作 |
コロナ独自の熱交換器の出力調整などで効率的な運転を行う省エネシステム・ES制御技術で、追い炊き時のエネルギー効率を最大化する。 アプリから追い炊きの遠隔操作が可能。 |
日立 | 「ステンレス・クリーン自動洗浄システム」 | ふろ配管にステンレスを採用、排水時に配管を自動洗浄して清潔に保てる。 |
6.まとめ
追い炊きは、冷めた浴槽のお湯を熱交換器で温める機能です。高温足し湯機能とは違って湯量を増やすことなく温められ、保温機能と違って自分の好きなタイミングで温め直せます。エコキュートの追い炊き機能は、貯湯ユニットにためられているお湯の熱を使って冷めたお湯を温めるので、浴槽のお湯を張り替えるより電気代・水道代ともに節約になる便利な機能です。各メーカーでは、さまざまな特徴のある追い炊き機能が搭載されたエコキュートを販売しています。エコキュートを選ぶ際の参考にしてみましょう。
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