2024年7月23日
エコキュートを「やめとけ」といわれるのはなぜ? 実際の長所・短所を徹底検証!
環境保護が喫緊の課題の一つであることが叫ばれてすでに久しく、私たちの日常生活でもあらゆる面で環境負荷の低減を目指した取り組みがされています。
そのうちエネルギー消費の抑制、いわゆる省エネは重要なテーマであり、住宅設備や建築構造にもエネルギーの効率化や自家発電などの仕組みが導入されています。
なかでも家庭でのエネルギー消費がもっとも多いとされているのが「給湯」です。
水をお湯にするという作業は多くのエネルギーが必要で、しかもロスが生じやすく無駄なく使うには工夫も要ることから、省エネにおける大きな課題とされてきました。
そこで省エネに対応したさまざまな高効率給湯器が登場していますが、多くの機種の中からどれを選べばよいのでしょうか。
そんなとき大いに参考にするのが実際に使用したユーザーによる口コミかと思いますが、なかには強い調子で否定的な意見が書き込まれているのを目にすることもあります。
本記事では高効率給湯器の一種である「エコキュート」を取り上げ、これに対する「やめとけ」という声の具体例と根拠を挙げつつ、本当にエコキュートは導入に値しないものなのかを検討してみましょう。
エコキュートとはどんな給湯器?
まず、エコキュートとはどのような給湯器であるのかを先に概観しておきましょう。
エコキュートの特徴は、エネルギー源を電気としていることです。
お湯は電熱によって沸かしているのではなく、エアコンや冷蔵庫などにも用いられている「ヒートポンプ」という装置で大気中の熱を集め、これにより水を温める仕組みです。
夜間の安い電力で稼働し、しかも温室効果ガスを出さないクリーンな熱源であることから環境配慮型の給湯器として普及しています。
また、エコキュートはヒートポンプで温めたお湯を貯湯タンクに貯めておき、必要に応じてそこから給湯するようになっています。
「エコキュートはやめとけ」といわれるのはなぜ?
省エネかつエコロジーな給湯器であるエコキュートですが、ユーザーの口コミのなかには「やめとけ」というネガティブな意見もみられます。
もちろんこうした主張にも根拠があり、必ずしも優れた点ばかりではないことはどのような商品にも共通することでしょう。
しかしエコキュートに対する否定的な意見とは、いったいどのような理由によるものなのでしょうか。
以下で「エコキュートはやめとけ」という書き込みについて、代表的な4つの根拠を見てみましょう。
初期費用が高いこと
まず、エコキュートは導入に際しての初期費用の高さが「やめとけ」といわれる理由として挙げられます。
従来型のガス給湯器の初期費用はおおむね20万~40万円ほどが相場とされていますが、エコキュートは本体価格30~70万円・設置工事費約15万円の合計45~85万円となり、2倍以上もの差があります。
また、同じ高効率給湯器でもガスを用いるタイプの「エコジョーズ」は本体価格20~35万円・設置工事費約5万円の合計25~40万円で、初期費用に関してはどうしてもエコキュートの高さが目立つといわざるをえません。
ただしエコキュートは耐用年数が長く、後述するように電気を使うことや貯湯タンクを備えていることなど独自のメリットがあるため、長期的な視点では必ずしも「高い」とは断言できない面があります。
とはいえ、従来型ガス給湯器よりも2倍以上の費用がかかることは、一見マイナスのイメージを持たれやすいのも事実といえるでしょう。
お湯切れを起こすこと
エコキュートへの否定的な意見でもっとも多いとされているのが、「お湯切れを起こす」という弱点です。
このお湯切れというのは読んで字のごとく、貯湯タンクに貯まっている分のお湯を使い切ってしまうと再び貯まるまでお湯が出なくなることを指しています。
これはエコキュートの構造に起因する問題で、瞬間ガス湯沸かし器のように強力な熱源でその都度お湯を沸かしているわけではないためです。
そのためエコキュートはお湯の想定使用量に合わせて複数のタンク容量をラインナップしていますが、先述のように貯湯量を超えて使用した場合にはお湯切れを起こしてしまいます。
ただし最新型の機種では「湯切れ防止機能」を備えたものもあり、タンクが空にならないようこまめにお湯を沸かして補充するタイプが登場しています。
稼働音が気になること
エコキュートの構造が原因で否定的な意見が挙げられる項目に、「稼働音が気になる」という声があります。
電気で動くエコキュートはいわば家電製品の一種でもあり、機械部品の動作音がするのは不可抗力の部類です。
しかし「気になる」といわれる音の原因は主にヒートポンプにあり、これはエアコン室外機が作動時に立てる音に例えられることがあります。
また、エコキュートが電力の安い夜間に稼働することが多いことも、音が気になることを助長している側面もあるでしょう。
エコキュート自体の音は40~50㏈程度で、これは図書館の中と同程度のため騒音とはいえない音量です。
ですが人が寝静まる夜の間にはより大きな音に感じられることもあり、さらには建物との反響によって予想外の不快音になってしまうケースが報告されています。
したがって、エコキュートを導入する際には設置場所を工夫したり、夜間では近所にどのような音の影響が出るのかをシミュレーションしたりする配慮が望ましいでしょう。
水圧が弱いこと
エコキュートを実際に導入した人の否定的な口コミとして、「水圧が弱い」という指摘があります。
これについても構造的な部分での理由があり、たしかに通常の給湯器と比べるとエコキュートは水圧の弱さが目立ちます。
ガス給湯器の水圧はおおむね500kPa(キロパスカル)であるのに対して、通常圧のエコキュートは約180 kPaと半分以下の圧力です。
これは水道の圧力で貯湯タンクにダメージを与えないよう、「減圧弁」という装置で圧力を下げていることが原因です。
対策としては水道直圧タイプの機種を選んだり、高圧タイプのシャワーヘッドに交換したりといったことが挙げられます。
さらに近年は、水圧の高いタイプのエコキュートが多数登場しているため、高圧タイプのエコキュートならば水圧が弱いと感じることは少ないです。
特にバスルームやシャワールーム、キッチンなどが家の2階以上に位置している場合は、水圧の高い機種を導入することがおすすめです。
実はこんなメリットが! エコキュートのいいところとは?
「エコキュートはやめとけ」といわれることの理由について詳しく見てきました。
いずれも明確な根拠のあることではありますが、はたしてすべてがネガティブな意見の通りなのでしょうか。
すでに一部では述べたように、一見弱点のように感じられて指摘されている事項についても、解消の方法やそれらの課題に対応した機種などが存在します。
また短所として捉えられていることはエコキュートの特質によるもので、裏を返せば長所としても成り立つ事柄もあるのです。
そんなエコキュートについて、今度はメリットの部分についてインパクトのある2点に絞って見てみましょう。
年間を通じての光熱費の安さ
エコキュートへの否定的な意見のなかでも、導入のための初期費用の高さは最たるものでした。
しかし給湯器は一度導入したらある程度の期間使い続けるのが一般的なため、長期的なスパンでのコストパフォーマンスを考える必要があります。
その指標の一つとして、年間を通じての光熱費が挙げられます。
例えば都市ガスを用いた従来型ガス給湯器を二人世帯で使用した場合を想定すると、エコキュートは月額にして6,000円弱安くなるという試算があります。
年間にすると約7万円という高額になり、例えば10年稼働した場合には70万円もの金額となります。
このように長い視点で見た場合、初期費用の高さを相殺してあり余る費用対効果がエコキュートにはあるといえるでしょう。
貯湯タンクによる断水時でのメリット
エコキュートはタンクに貯めたお湯を使うという構造上、お湯切れを起こすデメリットがあることを述べました。
ですがこのことは、大きなメリットにもなり得る部分でもあるのです。
それは災害などの非常時、特に断水を伴う事態になった場合にタンクのお湯あるいは水をしばらく使えるという点です。
災害に備えて浴槽などに水を溜めておくことが推奨されていますが、エコキュートではその構造によりタンクのお湯・水が備蓄分としても機能します。
停電後もしばらくは温かいお湯が使えますし、水道の水が出なくなった場合にもすぐに使えるまとまった量の水があるのは非常に心強いでしょう。
ただしそのまま飲用することは推奨されていないため、トイレを流したり汚れを落としたりするのに使うのが前提です。
このように、お湯切れを起こす「貯湯タンク」の構造は、逆に災害時に強みを発揮する大きなメリットでもあるのです。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事では「エコキュートはやめとけ」という否定的な意見の根拠を概観しつつ、実際にはどのようなメリットがあるのかを解説しました。
エコキュートの導入にあたっては金額や機能の面で不安を感じる場合もありますが、それらをしっかりと解消する長期的なスパンでのコストパフォーマンスと大きなメリットがあることにも着目しましょう。
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