2025年5月26日
エコキュートは寒冷地でも使える?寒冷地仕様の特徴やメリットを解説!

エコキュートは空気が持っている熱をとりだし、お湯を沸かすための熱として利用する給湯器です。電気を動力としていますが、空気の持つ熱を利用できるため、一般的な電気給湯器よりも割安でお湯を沸かせます。
寒冷地のように外気温が低いと取り出せる熱が少なくなるため、エネルギー効率が悪くなってしまいます。今回はエコキュートが寒冷地でも使えるのか、寒冷地仕様の特徴、寒冷地独特の注意点などについてまとめます。
寒冷地に該当するのはどの地域?
エコキュートには一般地用と寒冷地仕様、塩害地仕様など設置場所に応じたバリエーションがあります。
外気温が低い土地に設置するときは寒冷地に対応したエコキュートを設置しなければなりません。
ここでは、どのような場所が寒冷地なのか、エコキュートが設置できないほどの寒冷地とはどのような場所なのかについて解説します。
寒冷地に相当する地域
日本で気温が低い地域は北海道や東北地方、長野県などの中央高地などで、いずれの地域も冬の寒さが厳しい地域です。それ以外の地域でも冬の最低気温が低い地域は寒冷地と考えてよいでしょう。
これらの地域で一般地用を設置すると効率が低下してしまいます。最低気温がマイナス10℃を下回るような地域でも機能させるには寒冷地仕様のものを用いなければなりません。
マイナス25℃以下の地域は屋内設置
寒冷地仕様エコキュートはマイナス10℃からマイナス25℃の地域でも稼働するように作られています。しかし、最低気温がマイナス25℃を下回る地域では設置できません。
北海道の旭川市や北見市、長野県の菅平などでは寒波到来時にマイナス20℃を下回ることがあります。
寒冷地仕様の限界はマイナス20℃〜25℃となっています。そういった寒波が厳しい場所ではヒートポンプも貯湯タンクも屋内に設置しなければなりません。しかしながら、屋内設置の場合は設置用のスペース確保も考えなければならないでしょう。
寒冷地仕様エコキュートだけの特徴
寒冷地仕様には一般地用とは異なる特徴があります。違いについてみてみましょう。
凍結防止ヒーターを搭載している
寒冷地仕様には凍結防止ヒーターが搭載されています。搭載の目的は貯湯タンクの凍結を防ぐためです。寒波が到来すると沸き上げに時間がかかるだけではなく、貯湯タンクの水が凍ってしまうといった事態が発生するからです。それを防ぐには、タンクに凍結防止ヒーターを内蔵して凍結を防止する必要があります。
また、配管にも凍結防止機能が搭載されています。機能はメーカーによって違いがあるため、購入するときは、凍結防止機能の比較検討も必要でしょう。
凍結防止機能がついている
外気温の低下により配管が凍結するのを防ぐため、自動的にポンプを作動させて配管のお湯を循環させる機能が搭載されています。エコキュート内で水を常に循環させることで配管凍結を防ぐのが目的です。
寒冷地でもエコキュートを使うメリットはある?
寒冷地では気温が下がってしまうため、それに対応した寒冷地仕様を導入する必要があるとわかりました。そういった地域でもエコキュートを導入するメリットはあるのでしょうか。2つのメリットについて紹介します。
ガス給湯器に比べ低コスト
エコキュートはガス給湯器に比べ、ランニングコストが低いという特徴があります。
次の表は、青森県で寒冷地向けエコキュートとガス給湯器、灯油給湯器を利用した場合の年間ランニングコストを比較したものです。
年間ランニングコスト | |
---|---|
寒冷地向けエコキュート | 61,374円 |
ガス給湯器(都市ガス) | 131,240円 |
ガス給湯器(LPガス) | 224,802円 |
灯油給湯器 | 80,457円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や料金単価、家族の人数によって変動しますが、エコキュートは従来の給湯器に比べて省エネ性能に優れているため、ランニングコストを大幅に節約することが可能です。
家庭の消費エネルギーで2番目に多いのは給湯とされており、外気温が低い地域は高額になりやすいので、節約したい方はエコキュートへの買い替えを検討しましょう。
水道管が凍結しても貯湯タンクのお湯が使える
水道管凍結による断水でも貯湯タンク内のお湯を使用できます。寒冷地を寒波が襲うと、各所で水道管の凍結が発生します。凍結は市内各所で発生するため、凍結解除を業者に頼んでも、すぐに対応してもらえるとは限らないのが実情です。
エコキュートの場合、配管が凍結しなければ貯湯タンクに残っているお湯を生活用水として使用できるので、凍結解除までしのぐことができます。凍結以外の自然災害で断水しても、生活用水を確保できるのは同じです。つまり、エコキュートがあると自然災害時でも生活用水を確保できるのです。
寒冷地でエコキュートを使うときの注意点
エコキュートがあると、経済的なメリットや凍結時、自然災害発生時にも生活用水を確保できるメリットがあるとわかりました。しかし、寒冷地ならではの注意点もあります。
気温が低いと給湯効率が下がってしまう
ヒートポンプは外から空気を取り込み、空気が持つ熱を利用することで効率よくお湯を沸かす仕組みの機器です。したがって、気温が低くなると空気に含まれる熱が少なくなってしまうため、より多くの電気が必要となり、給湯効率が低下してしまいます。
次の表は、青森県で寒冷地向けエコキュートを設置した場合の年間ランニングコストをシミュレーションしたものです。
ランニングコスト | 平均外気温 | |
---|---|---|
1月 | 7,400円 | -3.0℃ |
2月 | 6,879円 | -2.9℃ |
3月 | 7,415円 | -0.6℃ |
4月 | 5,209円 | 5.6℃ |
5月 | 4,924円 | 11.0℃ |
6月 | 4,318円 | 12.2℃ |
7月 | 3,767円 | 16.0℃ |
8月 | 3,183円 | 19.9℃ |
9月 | 3,457円 | 16.9℃ |
10月 | 3,996円 | 12.2℃ |
11月 | 4,487円 | 5.4℃ |
12月 | 6,339円 | 1.5℃ |
年間 | 61,374円 | – |
実際のランニングコストを保証するものではありませんが、外気温が10℃を下回るとランニングコストが高額になりやすいのがわかります。
また、外気温が低い場合は給水温度も低いので、お湯を沸かすために多くのエネルギーが必要です。
エコキュートのランニングコストは抑えられていますが、冬場は高額になりやすいと覚えておきましょう。
雪や霜への対策が必要
屋外に設置する際、雪や霜への対策をしなければなりません。パナソニックのエコキュートを例にとると、3つの対策が施されています。
積雪対策
ヒートポンプユニットの底面が雪に接してしまうと、運転ができなくなってしまいます。それを防ぐため、置台などを用いて地面よりも高い場所に設置します。雪がかぶらない場所に設置しなければなりませんので、最大積雪量よりも高い場所に設置しなければなりません。
降雪時に雪がかぶらないよう、ヒートポンプを守る防雪部材を追加で設置するのが無難です。
風雪対策
ヒートポンプユニットに風雪が吹き込み、中が凍ってしまうと運転できなくなります。特に冬場に風が吹き込みやすい場所(季節風が吹きつける場所)に設置するのは避けましょう。地域や周辺の地形にもよりますが、冬は北西の季節風が吹きやすいため、建物の東側や南側に設置すると風をよけやすくなります。
また、ヒートポンプユニット、特に吹き出し口や吸い込み口の周辺の雪は必ず取り除かなければなりません。目安としては30cm程度開けておけば十分でしょう。
除霜水対策
外気温が低下すると霜取り運転を行い、霜が付着するのを防ぎます。その際、ヒートポンプユニットから水がドレン水として排出されます。排出された水が凍結しても問題のない場所に設置しましょう。
省エネ設定で湯量不足になることがある
先ほども解説したように、エコキュートは気温が低くなると効率が低下してしまいます。その分、電気を使う量が増えて電気代が高くなってしまいます。電気代を抑えようとして省エネ設定にしてしまうと、必要な湯量が不足してしまうことがあります。
省エネ設定にすると過去のデータから最適な湯量を予測し、自動で沸かすお湯の量を調節します。しかし、冬場は想定以上にお湯を使ってしまうことも少なくないため、調節が間に合わずお湯が不足してしまう可能性もあります。また、沸かす量が少ないとお湯の温度が低下してしまい、ぬるくなるかもしれません。
湯量不足・温度不足は沸き増しでお湯を多めに沸かしたり、設定温度を上げたりすることで解消できます。気温に応じて湯量や設定温度を調整し、お湯不足にならないよう注意しましょう。
自分でできるエコキュートの凍結予防策
2021年〜2022年にかけてのシーズンのような厳しい寒波が到来すると、寒冷地以外でも、エコキュートが凍結してしまう可能性があります。寒冷地仕様のエコキュートではない場合、凍結を予防する方法はあるのでしょうか。主な対策は以下の通りです。
- 水を流し続ける
- 配管を保温シートなどで被う
- 凍結防止帯(凍結防止用のヒーター)を取り付ける
- 凍結防止運転を実施する
基本的には水道の凍結防止と同じです。水は流れが止まると凍りやすくなります。池や湖が凍結しても、水が流れている川は凍らないといったことが起きるのは、流れている水が凍結しにくいからです。
しかし、この方法には水道代が上がるというデメリットがあります。
保温シートや凍結防止帯を利用すると配管凍結の可能性を低下させられます。ただし、保温シートが劣化していると効果が発揮できず、配管が凍ってしまう可能性があるので注意しましょう。
機種によっては凍結防止運転機能が搭載されているものもありますので、そういった機能を利用するのも一つの方法です。
寒冷地向けエコキュートの選び方
エコキュートは三菱やパナソニックなどのメーカーから寒冷地仕様の商品が販売されています。
メーカーによってラインナップや性能、機能などが異なるので、寒冷地にエコキュートを設置したい方は次のポイントに注目しましょう。
- 給湯効率
- 貯湯容量
- 搭載している機能
上記を順番に解説します。
給湯効率
給湯効率とは、エコキュートがお湯を沸かす際に、単位消費電力量あたりの給湯熱量と保温熱量を表す数値です。数値が高いほど省エネ性能に優れ、効率良くお湯を沸かすことができます。
一般的なエコキュートの給湯効率は3.5~4.2が相場ですが、寒冷地仕様のエコキュートは3.0前後が相場です。
給湯効率はお湯を沸かすためのランニングコストだけでなく、補助金の条件に関わってしまう場合があります。
たとえば、政府が行っている給湯省エネ2025事業では、一定の性能以上のエコキュートを購入時に補助金を貰うことが可能です。寒冷地仕様のエコキュートの場合は、貯湯容量によって異なりますが、給湯効率2.7~2.9以上が条件になります。
古いエコキュートによっては2.7を下回る場合があり、補助金の条件を満たせません。そのため、寒冷地仕様のエコキュートを選ぶ際は、給湯効率を確認しましょう。
貯湯容量
エコキュートは夜間にお湯を沸かしておき、貯湯タンクユニットで溜めて翌日以降に使用する貯湯式給湯器です。
お湯を沸かすためのヒートポンプユニットとは別に貯湯タンクユニットが必要で、機器によって貯湯容量が異なります。次の表は、貯湯容量と家族の人数の目安をまとめたものです。
家族の人数 | 貯湯容量の目安 |
---|---|
1人~2人 | 200L未満 |
3人~5人 | 370L前後 |
4人~7人 | 460L前後 |
7人~8人 | 550L前後 |
貯湯式給湯器の場合、お湯を使いきってしまうと湯切れを起こし、お湯を沸かすまでは利用できません。
しかし、エコキュートは日中の電気料金単価が高い傾向があるため、湯切れから沸かし直しするとランニングコストが高くなる可能性があります。
一方で、貯湯容量が大きくなると、給湯効率が低下します。給湯効率の低下はランニングコストに悪い影響を及ぼすため、家族の人数やお湯の使用量に対して、適切な貯湯容量のエコキュートを選びましょう。
搭載している機能
エコキュートはメーカーや機器によって搭載している機能が異なります。次の表は、主要なエコキュートメーカーの代表的な機能をまとめたものです。
代表的な機能 | |
---|---|
三菱 | キラリユキープPLUS バブルおそうじ ホットあわー |
パナソニック | AIエコナビ リズムeシャワープラス ぬくもりチャージ |
ダイキン | おゆぴかUV ウルトラファインバブル入浴 |
コロナ | おそうじconnect マイクロバブル・ウルトラファインバブル 7個の温度センサー |
日立 | ナイアガラ出湯 シルキー快泡浴 きらりUVクリー |
例えば、深紫外線ユニットによって浴槽内部のお湯に含まれる雑菌を抑制する機能を搭載しているメーカーは、記事執筆時点で三菱、ダイキン、日立の3社です。
清潔なお湯で翌日も入りたい方や、残り湯で洗濯をしたい方は、三菱やダイキン、日立の該当する寒冷地仕様のエコキュートから選ぶ必要があります。
基本的に寒冷地仕様のエコキュートは外気温が低い地域でも使用できる機能を搭載していますが、お風呂の時間を快適に過ごす機能や便利な機能はメーカーによって異なります。
寒冷地仕様のエコキュートを選ぶ際は、搭載されている機能を比較し、ご家庭に合ったものを選びましょう。
まとめ
今回は寒冷地でエコキュートを使うときの最低限の知識や寒冷地仕様エコキュートの特徴、寒冷地で使うためのポイントなどについて解説してきました。
北海道や東北地方、信越地方など冬に平均気温がマイナス10℃を下回る可能性がある地域では一般地用のものではなく、寒冷地仕様のエコキュートを使用するのがおすすめです。
寒冷地のことをよく知っているのは地元密着型のエコキュート専門業者です。エコざんまいは東北六県や関東地方で営業しており、寒冷地での設置経験も豊富です。
寒い地域ならではの設置ノウハウを持っているので、東北地方や関東地方でエコキュートの導入や交換をご検討の際は、是非お問い合わせ下さい。