2023年7月31日
エコキュートとは?夜間蓄熱式機器の仕組みやほかの給湯器との違いなどをわかりやすく解説
エコキュートは夜間にお湯を沸かして貯めておくため、夜間蓄熱式機器や貯湯式給湯器などと呼ばれています。そのため、ほかのガス給湯器や電気温水器などと違う点が幾つかあります。
そこで今回は、エコキュートの仕組みやほかの給湯器との違いなどをわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器の総称です。正式名称は自然冷媒ヒートポンプ給湯器で、エアコンに用いられているヒートポンプ技術を採用しています。
エアコンの室外機に似たヒートポンプユニットが外気を取り込むと、熱交換器で低温の冷媒(CO₂)が大気中の熱を吸収し、コンプレッサーで圧縮されます。
空気を圧縮すると分子が速く動くようになるため、温度が上昇します。コンプレッサーで高温になった冷媒はもう1つの熱交換器で水に熱を伝えてお湯を沸かします。
熱を渡した冷媒は膨張弁で膨らむことでさらに低温の状態になり、再び空気の熱を吸収するサイクルを繰り返します。
一方、高温に圧縮された冷媒で温められたお湯は貯湯タンクユニット内部に貯められて、必要に応じて各所に給湯されます。そのため、エコキュートは貯湯式給湯器と呼ばれます。
また、一般的なエコキュートは夜間時間に稼働してお湯を沸かす給湯器なので、夜間蓄熱式機器に分類されます。なお、夜間蓄熱式機器にはエコキュートのほかに電気温水器や蓄熱暖房機、蓄熱床暖房などがあります。
夜間蓄熱式機器の電気温水器との違い
電気温水器とは、電気の力で夜間にお湯を沸かして、日中に消費する貯湯式給湯器です。「電気」「夜間」「貯湯タンクユニット」など、エコキュートと共通点は多いですが、お湯を沸かす仕組みで大きな違いがあります。
- エコキュート…ヒートポンプ技術により大気の熱でお湯を沸かす
- 電気温水器…電気ヒーターの熱を利用してお湯を沸かす
電気温水器は貯湯タンクユニット内部に電気を流して発熱させる電熱ヒーターがあり、電熱ヒーターの熱でお湯を沸かしています。エコキュートが電気と空気の熱を利用しているのに対して、電気温水器は電気の力のみでお湯を沸かす給湯器です。
そのため、同じ湯量を沸かす場合、電気温水器はエコキュートよりもランニングコストが高くなる傾向があります。次の表は、同じ湯量を沸かした場合の年間ランニングコストの目安です。
エコキュート | 電気温水器 | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 |
東北電力エリア | 約31,200円 | 約80,400円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約166,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約25,200円 | 約104,400円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約100,800円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約91,200円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約78,000円 |
沖縄電力エリア | 約28,800円 | 不明 |
実際のランニングコストは機器の性能やライフスタイルによって異なりますが、東北電力エリアで比較すると、電気温水器は年間約80,400円に対して、エコキュートは約31,200円になります。
どちらも夜間蓄熱式機器なので契約している電気料金プランは同じですが、お湯の沸かし方の違いで、年間約50,000円もの差が発生します。
なお、電気温水器はお湯を沸かす仕組みと貯湯タンクユニットが1つになっていますが、エコキュートはお湯を沸かすヒートポンプユニットと、貯湯タンクユニットが別々になっています。
そのため、エコキュートのほうがスペースを多く必要とする給湯器です。
瞬間式給湯器のガス給湯器との違い
瞬間式給湯器とは、給湯栓を開くと同時に瞬時に加熱しながら給湯する種類の給湯器です。
ガス給湯器の場合は、ガスの点火によって水道管が加熱され、水道管を通る水は温められてお湯になります。大半のガス給湯器が瞬間式給湯器に該当しており、エコキュートに比べて次のような違いがあります。
- 湯切れの心配がない
- ランニングコストはガス料金に依存する
- 貯湯式給湯器に比べて設置スペースを取らない
瞬間式給湯器は必要なときに必要な量のお湯をすぐに沸かすため、貯湯式給湯器と違って湯切れを起こす心配はありません。また、お湯を沸かすために必要なエネルギーはガスなので、電気料金の値上げの影響を受けません。
ほかにも、瞬間式給湯器は号数によってサイズは異なりますが、エコキュートの貯湯タンクユニットに比べてコンパクトなので、設置スペースを取らないなどのメリットがあります。
一方で、エコキュートはガス給湯器に比べてお湯を沸かすための年間ランニングコストが優れています。次の表は、エコキュートとガス給湯器の年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | ガス給湯器 | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約114,000円 |
東北電力エリア | 約31,200円 | 約108,000円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約121,200円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約25,200円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約90,000円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約84,000円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約116,400円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約102,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約110,400円 |
沖縄電力エリア | 約28,800円 | 約63,600円 |
中部電力ミライズが過去に行った実験によると、水200mLを沸かす場合のランニングコストは電気がガスよりも若干安く、ガスの火力を強くするほどガスのランニングコストが高くなります。
ガスはエネルギー消費の効率が悪く、火力を強くするとランニングコストが高くなる傾向が見られます。そのため、ガス給湯器のランニングコストはエコキュートや電気温水器などの他の給湯器に比べて高額になりやすいです。
一方、エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯のため、ガス給湯器に比べて省エネ性能が高いです。東北電力エリアで比較すると、ガス給湯器は約108,000円に対して、エコキュートは約31,200円になります。
エコキュートの性能やライフスタイルによって異なりますが、ガス給湯器からエコキュートへ交換した場合、東北電力エリアなら年間約70,000円の節約につながります。
石油給湯器との違い
石油給湯器は灯油をエネルギーにしてお湯を沸かす給湯器の総称です。商品によってガス給湯器のように水道管を直接温める瞬間式(水道直圧式)と、エコキュートや電気温水器のようにお湯を沸かして貯めておく貯湯式があります。
瞬間式と貯湯式の石油給湯器はどちらもメリットやデメリットはありますが、共通していることは灯油をエネルギーとして用いていることです。そのため、給湯機本体とは別に灯油タンクを設置して、無くなったら補充する必要があります。
エコキュートは電気があればお湯を沸かすことができるので、石油給湯器のように灯油を補充したり、手配したりする手間がかかりません。また、石油給湯器よりもエコキュートの方がランニングコストを節約できます。
次の表は、エコキュートと石油給湯器の年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | 石油給湯機 | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約31,200円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約69,600円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約25,200円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約28,800円 | 約55,200円 |
灯油はガスよりも単価が安いため、石油給湯器の年間ランニングコストはある程度抑えられています。しかし、エコキュートほどの省エネ性能はないため、年間ランニングコストを比較するとエコキュートのほうがお得です。
エコキュートは太陽光発電システムや蓄電池との相性が良い
次の表は、エコキュートとほかの給湯器の年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約78,000円 | 約114,000円 |
東北電力エリア | 約31,200円 | 約80,400円 | 約70,800円 | 約10,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約166,800円 | 約69,600円 | 約121,200円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約25,200円 | 約104,400円 | 約81,600円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約100,800円 | 約67,200円 | 約90,000円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約63,600円 | 約84,000円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約91,200円 | 約67,200円 | 約116,400円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約66,000円 | 約102,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約78,000円 | 約64,800円 | 約110,400円 |
沖縄電力エリア | 約28,800円 | 不明 | 約55,200円 | 約63,600円 |
地域によって電気料金単価や外気温が異なりますが、基本的にどの地域でもエコキュートのほうが、ほかの給湯器よりも年間ランニングコストがお得です。
また、エコキュートは太陽光発電システムや蓄電池の相性が高い住宅機器です。
例えば、太陽光発電システムを設置すれば日中の余剰電力を活用してお湯を日中に沸かすことが可能です。エコキュートは夜間蓄熱式機器ですが、設定を変えれば日中にお湯を沸かせます。
日中にお湯を沸かした場合、夜間に比べると日中のほうが外気温は高いのでお湯を作るための電力量が少なくなり、沸かしたお湯を消費するまでの時間が短くなるので保温に余分なエネルギーを使いません。
また、蓄電池があれば電気料金が安い時間帯に電力を購入して、日中にお湯を沸かすことができます。
エコキュートが夜間にお湯を沸かす理由の1つが、電力会社で契約する料金プランが夜間と昼間で料金単価が異なるためです。例えば、東北電力エリアでエコキュートを設置すると、「よりそう+スマートタイム」を契約します。
「よりそう+スマートタイム」の内容は以下の通りです。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
基本料金 | 主開閉器契約 実量契約 |
10kVA以下 | 1契約 | 4,356.00円 |
上記を超える | 1kVA | 435.6円 | ||
電力量料金 | 平日昼間(8時~22時) | 1kWh | 36.98円 | |
平日夜間(22時~翌8時) 休日全時間(8時~22時) |
1kWh | 29.91円 |
上記のように、夜間と昼間で電気料金単価に大きな差があるため、エコキュートは電気料金単価が安い夜間にお湯を沸かそうとします。
しかし、太陽光発電システムや蓄電池があれば、お湯を沸かす時間が夜間に限定されなくなるので、年間ランニングコストをさらに節約できる可能性があります。
まとめ
以上が、エコキュートの仕組みとほかの給湯器との違いの解説です。エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器で、ほかの給湯器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが抑えられています。
電気代の高騰が続く現状を考えると、給湯費を大幅に下げられるエコキュートへの買い替えはおすすめです。また、太陽光発電システムや蓄電池などと相性が良いので、一緒に導入することも検討してみましょう。
「エコざんまい」は中間業者を減らした独自の仕入れルートを持っており、エコキュートを低価格で販売しています。商品知識が豊富なスタッフが対応しますので、エコキュートの購入を考えている方は、ぜひご相談ください。